訴えを起こしたのは、東京・世田谷区の公立小学校に通っていた男子児童とその両親です。
訴えによりますと、男子児童は6年生だった3年前、体育の授業で2人組になって倒立をする組み体操の練習をしている時に、バランスを崩して頭と背中を体育館の床に強く打ちつけ、歩くとふらつく状態が続き、1年余り車いすを使っていたということです。
その後も激しい頭痛やめまいなどの症状が残り、「脳脊髄液減少症」と診断されたということで、児童と両親は「学校側は安全性を十分に確認せず、マットを敷くなど必要な対策をとらなかった」などとして、世田谷区と担任の教師におよそ2000万円の賠償を求めています。
児童の両親は会見を行い、母親の定松啓子さんは「学校で事故が起きることはやむをえないとしても、指導がどのように行われていたのか裁判で明らかにしたい」と訴えました。
一方、世田谷区は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
3) 「組み体操でけが、後遺症」 世田谷の中2両親が区などを提訴(夕刊) 東京新聞社会記事
東京都世田谷区立武蔵丘(むさしがおか)小学校の体育の授業中、当時六年だった男児(14)が組み体操の倒立の練習で負傷して後遺症が残ったとして、両親が二十八日、区と担当教諭に約二千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
災害共済の給付を行う独立行政法人日本スポーツ振興センターの統計では、二〇一四年度に医療費を給付した全国の組み体操事故約八千六百件のうち、倒立は13・6%を占め、肩の上に立つ「タワー」に次いで二番目に多かった。男児はペアを組んだ相手の子より身長が約八センチ高く、体重が約六・五キロ重かったが、スポーツ庁は事故後、体格の格差に注意するよう求める指針を出している。
訴えたのは区内の定松佳輝(よしてる)さん(56)、啓子(ひろこ)さん(46)夫妻で、原告は現在、中学二年の次男。
訴状などによると、次男は一四年四月、二人一組で行う「補助倒立」を練習中、ペアの子に足を取ってもらえず、バランスを崩して体育館の床に頭と背中を強打。視覚障害や頭痛を発症して入通院を余儀なくされ、一年ほど車いす生活が続いた。
その後も激しい頭痛や全身の疲労感などを伴う脳脊髄液減少症などの後遺症が残り、日常生活に多大な支障が生じている。学校側は事前の練習を十分に行わず、マットを敷くなどの安全措置を講じなかったなどと主張している。