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交通事故などの特異な脳損傷 石橋徹氏/吉本智信氏

2013年12月19日 | 症状関連記事

 ふるいしんぶんきじがさがしてたらありました、2年前のものですが・・。脳脊髄液減少症なども関連性があるとおもっております、私達患者が症状に苦しんで誰よりも親身に苦しめられてる病状なんだもの・・。

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交通事故などで脳に特異な損傷を負う「軽度外傷性脳損傷」(MTBI)について、厚生労働省が調査を進めている。その原因を、脳の組織が傷ついている器質性とみて患者救済を訴える整形外科医で湖南病院院長の石橋徹医師と、多くは心因性だとする関東中央病院脳神経外科部長の吉本智信医師が論じ合った。【立会人・宍戸護、写真・小林努】

 ◆患者全員に学際的診断を−−整形外科医、湖南病院院長・石橋徹氏

 ◆データ蓄積、まず東京から−−関東中央病院脳神経外科部長・吉本智信氏

 ◇どんな病気、症状か

 石橋 MTBIは、欧米では90年代から認識され、世界保健機関(WHO)は04年に基準を作っています。その基準を満たすMTBIの患者さんは、記憶力が悪くなったり、理解力が下がる高次脳機能障害のほか、手足のまひ、食べ物がのみ込みにくい、尿や便を漏らすといった症状が確認されています。その原因は脳の情報伝達を担う神経線維が所々切れた状態である「軸索損傷」と考えます。電線を束ねたケーブルが外からの衝撃でプツプツ切れているイメージです。微細であるため、コンピューター断層撮影(CT)などの画像異常が得られません。米国には、MTBIが治らない患者さんを指すミゼラブルマイノリティー(悲惨な少数の人たち)という言葉もあります。

 吉本 現在、重い頭部外傷は米国でも日本でもデータベースができており、ある程度把握できます。中程度もデータベース作りを始めていますが、石橋先生が主張される軽いものについてはきちんとしたデータベースがなく、MTBIがどういう病気なのか定まっていません。WHOの診断基準は急性期の意識障害や健忘症、一時的な症状を認定要件に挙げています。一時的な症状とは、まひや失語症、けいれんなどを指し、これらの症状が一時的でない場合はMTBIに含まれないと思います。いずれにせよ、WHO基準は、統一した基準を作ってデータを集め、研究を進めませんかという提案だと思います。もちろん、ミゼラブルマイノリティーの存在は、ほとんどの医師の共通認識でしょう。ただ、その原因が、脳の組織が壊れている器質的な損傷によるものなのか、その人が元々持っているものや環境が影響した心因性によるものなのか、は議論が分かれるところだと思います。

 石橋 WHOの基準は、慢性期の持続する異常を除外していません。その証拠にWHOの07年のMTBIの報告書で、英国の研究者の論文を引用して「軽度、中程度の2分の1はその後も生活能力の低下に悩んでいる、良い結果が得られない」と指摘し、米国の有名な脳神経外科の教科書でも「MTBIのうち10~20%の人たちは症状が治らない」と書いてあります。今の日本社会では、高次脳機能障害も、私の患者さんたちが訴えている身体障害も十分な評価をされないまま、心因性とされている例が非常に多いです。心因性とは、患者さんの性格や社会的地位、収入のほか、仕事や人間関係や事故処理などが影響したものです。重症な患者を扱う脳神経外科、首から下しか関心がない整形外科、外傷は診ない神経内科の間にMTBIは埋もれているというのが、私の正直な感想です。私は今、500人の患者さんを診ていますが、3分の1は悲惨な状態です。こんなに症状が重い人が日本にもいることを多くの医師に訴えたいです。

 吉本 患者さんが訴えている症状と、それが器質的なものかどうかは別個だと思います。外傷性脳損傷ではまず急性期と慢性期を分けないといけない。軽度頭部外傷の人の多くは、大した後遺症を残さないことに異論はないと思います。例えば、交通事故の患者さんが来たらCTを撮って、何ともなければ帰します。脳外傷は浮腫、遅発性の脳内血腫があって1週間後くらいまで起こりうる。たまたま事故後は症状が出ないで3、4日後に出血して症状が出ることはある。しかし歩いて帰った人が3カ月後、半年後に症状がだんだん悪くなったというならば、それは違う原因を探さないといけない。器質性障害が見つからない場合、心療内科や精神科に頼むことになると思います。

 ◇分かれる診断、認定

 石橋 そうした診断に納得いかない患者さんが私のところに来ます。診察や検査を全部やり直します。脳、脊髄(せきずい)、手足の神経を診て、異常がある場合、神経系の眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリ科、精神科に検査を依頼します。自分が見つけた異常が本当に存在するか、専門家に診てもらうためです。私一人の診断では十分ではないと考え、自分の診断能力が及ばない部分は、専門医にお願いする。MTBIの診断には学際的なアプローチが求められていると思います。高次脳機能障害や視覚、聴覚、嗅覚などのまひ、身体のまひ、尿や便の不調があれば、精神的なものという考え方はできないのです。

 立会人 CTなどの画像上の異常を求める労災や自賠責保険における認定基準についてはどう考えますか。

 石橋 CTや磁気共鳴画像化装置(MRI)で脳損傷が映らないケースがあることは、医学界の常識です。画像に映らないといずれもほとんど認められないのは問題です。WHO基準は画像所見を求めていません。

 吉本 画像と意識障害がやはりポイントです。画像所見も意識障害もないものは器質性とは認められない。ただし心因性ならば、非器質性障害だと認められるわけです。ところが患者さん本人が心因性を認めたがらない。労災も自賠責も非器質性という受け皿は整備されていると思います。

 ◇今後の研究、課題

立会人 今後の研究はどう考えますか。

 吉本 私は石橋先生がやられている仕事をすぐに認める気にはなれないが、データを蓄積することは大切です。常識が変わるのが進歩の歴史であり、その時には情熱がある医師が現れます。ただし、自分が勝手にこう思っているというのでは説得力がないですから、膨大なデータを基に提示しないといけない。さらに神経系の医師がそれぞれの検査と所見を出したからといって、どれだけ信頼できるかという問題もあります。

 石橋 神経系を診る複数の専門医による検査や所見が重なれば、障害の裏付けになります。

 立会人 データの蓄積のために、具体的な提案はありますか。

 吉本 MTBIのデータベースづくりは、最初は東京都に限定すれば可能性はあると思います。都の救急隊にはマニュアルがあり、数年前からオンラインのデータベースになっています。そこで事故1年後の患者さんを調査すればデータは集まります。ただし個人情報が大きな壁になりますが。

 ■聞いて一言

 ◇障害抱え苦しい生活、早く救済の仕組みを

 記者はMTBIの患者にたくさん会った。多くは交通事故後、高次脳機能障害や身体障害を抱えている。車椅子の人もいる。だが脳損傷を示す画像所見がなく、事故時に重い意識障害もないため、労災や自賠責保険の要件を満たさない。働けない人も多く、苦しい生活を強いられている。各地の裁判ではその原因が器質性か心因性かが争われている。心因性では、事故との因果関係は薄められ、患者の障害等級が低くなりがちであり、障害給付や保険金が減る。長妻昭厚労相(当時)が研究開始を表明してから1年半たつ。一日も早く患者を救済する仕組みを作ってほしい。(宍戸)

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 ■人物略歴  ◇いしばし・とおる

 1940年生まれ。慶応大医学部卒。整形外科医。東京医療センターなどを経て現職。著書に「軽度外傷性脳損傷」。

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 ■人物略歴  ◇よしもと・さとのぶ

 53年生まれ。東大医学部卒。脳神経外科医。東京警察病院などを経て現職。著書に「高次脳機能障害と損害賠償」。

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