台風一過というのは「ヤレヤレ」という気分とともに時々体験しているところだが、寒冷前線一過というのはあまり記憶にない。
寝る前は風雨ともそれほどでもなかったが、深夜まで起きていた山の神によれば夜中はそこそこに派手だったらしい。
一度寝入ってしまえばこっちのもの。
ボクの場合は震度4以上の地震なら飛び起きるが、それ以外は大抵白河夜船で、これが漫画なら鼻から提灯を膨らませている絵柄になることだろう。
そんなわけで起きて見て路上にべっとりと張り付いたイチョウ並木の濡れ落ち葉で道路が黄色く染まっているのを見て、ハハァ~ン、昨夜はかなり強烈だったらしいな…と思っただけである。
朝ごはんを食べ終わるころからぐんぐん青空が広がってきたものの、南寄りの風は依然吹き荒れている。
「そうだ、京都行こう! 」は名キャッチコピーだと思うが、「そうだ、稲村ケ崎行こう!」と閃いた。
白波を立てて荒れまくる相模湾の彼方にくっきりと富士山が姿を現しているはず…
鎌倉・稲村ケ崎から見る寒冷前線一過後の相模湾と箱根連山や伊豆の山々を従えてそびえる富士山
ここから眺める景色でいつも白いのは富士山の冠雪だけだが、この日は…
穏やかな相模湾がこういう相貌を見せることはそうざらにあることではない
そもそも松籟というのは「響く」ものなのかどうか知らないが、小さな岬のてっぺんでは波の音と一緒に響くように聞こえていた
大きく盛り上がる印象的な大波の彼方に豆粒のように小さく富士山が描かれた、あの葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」を彷彿させると言ったら大袈裟すぎますよね
穏やかな海にも、荒れた海にも、富士山って山は似合うねぇ~
「富士には月見草が良く似合う」と言ったのは太宰治だが…
この鳥、名前は分からなかったが風に乗って輪を描くのが得意のトンビやタカの類ではなく、足に水かきのようなものが付いていたし首がZ状に曲がるのでウ(鵜)の仲間ではないかと思う
足にご注目
この鳥2~3羽が風下から風上に向かってあおられながらも繰り返し繰り返し強風に立ち向かっていく姿を眺めていて「あっ、こいつら遊んでる ♪」と直感した
やんちゃな連中ってのはどこにでもいるもんだ タカやトンビのように飛翔力に長けていない分、飛び方が不格好なくせに挑戦する姿が実に微笑ましい
しょっちゅう輪を描いては砂浜でくつろいでいる観光客の手から食べ物をかっさらていくトンビなど1羽も飛んでいなかっただけに、この一見不格好に見える水鳥の強風遊びに興じる姿はとても印象的で楽しませてもらった
スマホを持つ手が強風でぐらぐら揺れて困った
海沿いの国道134号も波に飲み込まれそうだ
2、3年前の台風の大波で道路が一部えぐり取られてしまった箇所ではまだ復旧工事が続いている