湘南モノレールの終点、湘南江ノ島駅のすぐそば、歩いて1、2分のところにその寺はある。
常立寺。
寺が建つのは鎌倉時代の龍ノ口処刑場跡地と言われる場所で、元使塚が祀られていることで知られる。
1275年、時の第8代執権・北条時宗は国交を求めて元が派遣してきた7度目の使節5人の首をこの刑場で落とした。
1275年という年は2度の元寇のうち、最初の文永の役と呼ばれる攻撃を撃退した翌年の事である。
侵略軍を送り付けた直後に高圧的な姿勢で国交樹立を迫られても、おいそれと応じられるわけがない。
当時の倫理観なり、価値観、武士道精神をもってすれば、やむを得ない選択だったのではないか。
この寺は地味な寺で観光客が殺到するような寺ではない。
しかし、大相撲でモンゴル勢が活躍を始めたころから、横綱や大関に昇進したモンゴル力士が花を手向けにやってきて、それが時々ニュースになったりした程度である。
朝青龍や白鵬も1度ならず供養に訪れているはず。
そしてもうひとつ目を引くものがあるとすれば何本かの枝垂れ梅。
これが大きな木で、春が来て垂れ下がった枝にたくさんの花が咲き乱れて揺れるさまは、なかなか見応えがある。
そういう認識だったのだが、昨日パトロールで通りかかってチラッと見えた境内が黄色く染まっているのに気付いて、慌ててUターンして境内をのぞいて見ると…
山門の内側に2本のイチョウの大きな木があり、てっぺんの方は既に散り始めていたが、まだ6~7割は残っていて初冬の日差しを浴びて輝いていた。
そしてさらに目を引き付けたのは、落ち葉をそのままにして掃除していない事だった。
おかげで足元の通路はもとより、ベンチやテーブルの上にも黄色い落ち葉が降り積もり、真っ黄色の世界に紛れ込んだ気分である。
門をくぐってすぐ右側に並んでいるお地蔵さんたちの足元も黄色の毛氈を敷いたようでになっている。
強い風が吹いたらこの落ち葉たちは境内を飛び出して辺りに飛び散っていくのかと思いきや、東側には山が迫り、それ以外は塀が張り巡らされているから、たぶん境内を飛び出す心配はないのだろう。
禅寺が多い鎌倉の寺では落ち葉掃除も修行の一環としてキリがないくらい一生懸命になるのとは大違いで、落ち葉に埋もれる境内と言うものも、これはこれでまた風情のあることであるなぁ…と感じたのは新発見だった。
山門の外側は掃除が行き届いているが…
門を一歩くぐればもう上も下も黄葉ばかり
ベンチもテーブルもご覧の通り
稲村ケ崎から見た昨日の富士山と江ノ島