総選挙の結果を報道する新聞を読んでいて気が付いたことがある。
おごれる自民党に有権者の鉄槌が下り、15年ぶりに過半数割れという、至極まっとうな結果をもたらした選挙だったが、そうしたきちんとした判断をくだせた有権者は、実は列島にまんべんなくいると思っていたのだが、どうもそうとばかりは言えないようである。
というのも、各都道府県の選挙区ごとの当選者の所属する党派の色分けを眺めれば一目瞭然で、立憲民主党などの野党系を青色で塗り、自民と公明、保守系無所属を赤系統の色で塗り分けると北に行くほど青色が目立ち、南の九州や四国、山陰・中国地方は赤く染まっている。
例えば北海道。
12の選挙区のうち赤く塗られた選挙区はたったの3つ。
東北6県に目を転じても21選挙区中、青が12個で9個の赤を圧倒している。
保守王国で知られた青森でさえ、今回3つある選挙区のうち、ひとつで赤が青に塗り替わっているし、宮城(5選挙区)や福島(4選挙区)に至っては赤はそれぞれたった一つだけ。
ただし、なぜか山形に限っては3選挙区すべてで赤色がともり続けたままである。
そして山形と隣接する新潟県はと言えば田中角栄の王国があったところだが、今回は5つの選挙区すべてで青い色がともっていて、これはこれでとても目立つ。
新潟県の有権者の眼の何と正確なことであることか。あっぱれ。
そして分水嶺を越えて関東平野に入ると、しぶとく自民党が息を吹き返し始める。
何せ人口稠密な関東の1都6県だけに選挙区の数は97もあるが、何とここでは赤49、青48のがっぷり四つとなる。
ボク的には都市部ではもっと青が優勢かと思っていたが、群馬県が5選挙区のすべてが赤だったり、自民もそれなりに健闘して生き永らえているのである。
というか…自民のやりたい放題に何も感じない有権者が少なくないことを示していて、周囲の半分のニンゲンがそうだと思うと気分がよくない。
わが神奈川県はかろうじて青11が9つの赤を上回ってはいるが、赤のそれなりの生存も許してしまっている。
首都東京も30ある選挙区で赤は14と半数に迫り、それなりに生存を許されてしまっているという具合だ。
まあ、こんな調子で関東平野を過ぎると自民がさらにのさばり始めるのだが、19選挙区すべてが維新一色(青)の大阪は別格として、愛知県も16選挙区中諸派1を除き赤がたった3つで残り12はすべて青という、自民拒否色の強いところもあって頼もしい。
そしてなぜだか赤色の全くない大阪府の隣の兵庫県が異彩を放っていて、12選挙区中青色はたった2つ。
残りはすべて赤く染まっていて、大阪のうっぷんを隣の県で爆発させているのではあるまいかと思えるほどだ。
どうなってんだ兵庫県民は。
そして四国は10選挙区中青は3つのみで残りはすべて赤。九州も30選挙区(沖縄を除く)中赤19、青11と赤が著しく優勢である。
かくして南北に細長い日本列島にあって、北の地域ほど有権者の目は厳しく、逆に南に行くにしたがって無関心というか、権力に付け込まれやすい有権者が増える傾向にあるのである。
今回、政権与党は「大敗」で済み、直ちに政権交代にまで結びついていないという選挙結果は、こういう地域差にも表れていて、列島の南の地域でもう少し有権者の眼が光っていたら、与党は完全にアウトだった。
暖かな地域で暮らしていると、のんびりしちゃうんですかねぇ…