ひとつ…二つ……あっ、ここにも♪
わが家の東側の窓の下、隣家との間の細長い敷地で今年もフキノトウが出始めた。
山の神が目ざとく見つけ、教えてくれたので「どれどれ」と見に行ったら、既にぷっくらと膨らんだトウが三つ四つ、いやっ五つ六つ。
折しも立春の前日で、これは春から縁起がいいわい♪ と嬉しくなった。
確か例年も2月になると"収穫"してフキ味噌にしてもらい、フキノトウがもつ独特の苦みを堪能するための日本酒にも手を貸してもらい、コタツの中でチビチビやりながら、しみじみと味わうのである♪
まぁ、ボクが春を迎えるにあたっていくつか用意している儀式の内でも"口福"を伴うという点で、欠かせないもののひとつと言っていい。
早速、フキ味噌にして日本酒で一杯やるか…と思っただけで、口中によだれが充満しかけたが、山の神は「もう少し膨らむまで待った方がいい」というので、素直に従った。
楽しみは先に取っておく、というのも一興である。
ネット情報によれば、フキノトウをはじめとしたさわやかな苦み野菜を食べることで、冬の間にため込んだ脂肪や老廃物を排出するデトックス効果があるんだそうな。
舌に嬉しいだけでなく、身体にも優しく作用するということだから、これはもう願ったりかなったりの早春の贈り物なのである。
確か、例年だとフキ味噌を味わうと、その10日とか2週間後には初音を耳にしてきた。
春告鳥が鳴き出せば春の足取りは一層確かなものになり、あちこちで眠っていた大自然が目を覚ます。
爛漫の春が確実な足取りで近づいてきているのだと、フキノトウが教えてくれている。
猪を炙り蕗の薹まぶしかな 長谷川櫂
乾きたる垣根の土や蕗の薹 高浜虚子
よき草のなれも数なり蕗の薹 井上井月
乾いた土から顔を出したわが家のフキノトウ
収穫はもう少し膨らんでから…
こんなところからも…