一晩嵐が吹き荒れた後の庭は思ったほどひどくはなかった。
というのも、枝が折れたり鉢がひっくり返ったり、生えている植物たちが根こそぎ立抑えたり…そんな被害は皆無だったから。
とは言え、主役中の主役で肝心要のバラは惨憺たるありさまで、開花中の花は花びらが吹き飛ばされるか、吹き飛ばされないまでも見るに堪えないくらい痛んでしまったりしていて、無事だったツボミを残して残らず切らなければならなかった。
まぁ、わが家のバラはほぼ最終盤に差し掛かっていたから、残念ではあるが致し方ない所だ。
これがあと10日とか2週間早かったら目も当てられなかったろう。
花の始末やつるバラなどは緩んだ結束を締め直したり、後始末にほぼ午前中いっぱいかかってしまった。
ただ、庭の植物をじっくり観察する機会にもなり、早速「おやっ ?! 」と言うものを見つけた♪
玄関アプローチのアーチにつるバラの「伽羅奢」(ガラシャ)と一緒に絡めて咲かせているクレマチスの「ロウグチ」(篭口)
釣鐘型というかベル型というか、独特の形をした花を咲かせる
洒落た帽子のようにも見える
今年は"同居人"の伽羅奢の上半分開花を前にして突如枯れてしまい、ボクを悲しませたが、ロウグチは変わらず主にーくな花を咲かせてくれ、慰めてくれている
白い小型の花が盛り上がるように咲く伽羅奢の間にこの独特の形のクレマチスが躍るように咲く姿はなかなかだったのに…
どのロウグチも下を向いてぶら下がって咲いているというのに、こいつだけはどういう風の吹き回しか…
坂本九の歌った世界のヒット曲「上を向いて歩こう」の熱狂的なファンに違いない
そうでなければどうしてわざわざこんな姿で咲くものか…
ロウグチ界の反逆児、いやっ、革命児の登場かっ♪
曲を聴いているうちに「自分も上を向いて咲きたい」と思ったんだろうな
そしてうつむきつつ歩いている世の中の人々に向かって「みんなも一緒に上を向いて歩こうよ」と呼びかけたかったんじゃあるまいか
それにしても、実際にその思いを遂げてしまうのだから大したものじゃないか
きっと簡単な事じゃなかったと思うよ
その意思の強さ、実行力、目的に向かっての努力、誰もやったことのないことへ挑戦するパイオニア魂に痛く感じるところがある
クレマチスの世界にも新しい波、ヌーベルバーグが押し寄せる兆しなのか
何はともあれ、思いがけない貴重なものを見せてもらった♪
夕方見てみると、上を向いていた革命児は疲れてしまったのかクタッとしてしぼんでしまっていた
大変な戦いだったことがしのばれる姿と言ってよい ご苦労様でした