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平方録

波がはやし立てるのもだから300gのステーキにしたぜ

1泊旅行に出かける妻を車で駅まで送り、その足で江ノ島の海をのぞいて帰ろうとしたら海が大騒ぎしていた。
江ノ島大橋(車用)を渡って島に入ろうとしたら、橋の東側、つまり進行方向左手の海面が波立って、その一角だけがしっちゃかめっちゃかになっているのが見えた。
勢い余った波しぶきは時々橋の上を覆いかぶさるように襲いかかり、一部で路面がびしょぬれになっている。
海水をもろにかぶるのは嫌だから、手前で減速して一つの波が橋を洗い終えたのを見計らい、次の波が来るスキをぬって通り過ぎた。
そういう意味ではなかなかスリリングではあった。

減速してタイミングを計っていると、左前方を自転車で渡っていく人影が目に入った。
ほぼ正面やや右方向に当たる南西から10数mの強風が吹き付ける中、その人影はよろめきながらペダルを漕いでいたのだが、一瞬、白いものが橋の下からぐわぁ~んと立ち上がったと思ったら、件の人影の頭のてっぺんから降り注いだのだ。
危うく転びかけたがどうにか態勢を持ち直したものの、あれでは全身濡れねずみになったに違いない。
とんだ災難だったろうと、痛く同情した。
土産物屋や旅館の従業員の出勤時間だったと見えて、橋を何台もの自転車が渡っていたから被害者はまだほかにもいたかもしれない。

江戸時代から鎌倉・江ノ島は江戸市民の格好の旅行先で、丹沢・大山参りを済ませて寄り道したり、最初から江ノ島と鎌倉を目当てに遊山の旅に出てくる庶民は少なくなかった。
名所絵図が残っていたり、当時人気絵師だった広重の浮世絵にも江ノ島・鎌倉はいくつも描かれている。
現代流に言えばJRや旅行会社が旅行客を誘うのポスターの類だろう ? ってことは今も昔もやり方は変わらないってこと。

当時、江ノ島に渡る橋はなく、その代わり川の流れが運ぶ土砂で陸地と島が繋がる陸繋砂州が伸びていて、その上を歩いて渡っていたことが知れる。
ただ、今は川からの砂の供給がほぼ途絶え、潮が完全に引いて海底が露出するのは大潮の時くらい。
ボクが目にするのも一年を通してみれば、数多くない。
そういう場所なので橋の東側はとても浅く、東から押し寄せる波と西側から押し寄せる波がもろに衝突する場所になっている。
普段穏やかな海でも東西両方向からのさざ波が小さな衝突を繰り返しては波紋を広げているが、かくも大暴れの光景を目の当たりにしたのは初めてで、とても新鮮だった。
自然の営みってやつは、時に想像を超えた場面を演出してくれる  ♪

日曜日はがっかりしたことがあったし、一晩だけとはいえ家で一人で留守番だし、あそこの肉はおいしいと評判の店に寄って黒毛和牛のステーキ肉を300g買ってきて赤ワインを飲みつつ夕食にした。
ネットで「美味しいステーキの焼き方」なんてのを見てから焼いたので、肉そのものも美味しいのだが、調理もそこそこだったんだろうと思っている。
付け合わせは玉ねぎを炒めたのと作り置きのカリフラワーのカレー粉和え。カリフラワーの方は大きめの小鉢に山盛り食べた。
ステーキは冷めないうちにという思いと、どれどれ、早く味見しなくちゃという気が先に立って写真に撮り忘れたことに気付いたのは半分程食べた後なので、写真はやめておいた。
残念なことをしたものだ。

300gのステーキなんて久しぶりだ ♪

東側の左方向と西側の右方向からの波がちょうどせめぎ合う現場=片瀬東浜(対岸は江ノ島)

もう大騒ぎ 大はしゃぎの様相

他の海面は波がしらこそ白くなるところもあるが、これほど大暴れはしていない
見ていて飽きなかったが、強風で立っているのもやっと。スマホを構える手はぐらぐら揺れるので、手すりに手を固定してスマホがぶれないようにしながら撮った



並行して走る人道橋を自転車で行く人 この強風の中を後と前に子供を乗せている ? 電動自転車なら可能か。それにしても大胆…


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