写真はわが愛車の後輪タイヤの痛々しくも憐れな姿である。
表面を覆っているゴム製の被膜が擦り減り、中心部材がむき出しになりつつある。
戦国時代の侍なら傷ついた仲間がいれば「傷は浅いぞっ、しっかりしろ!」と励ますところだが、このタイヤはそこそこの深手である。
それで自転車屋に持って行って交換してくれないかと頼んだが、「職人が不足していてすぐには出来ない、明日ならなんとか」…というので予約しようと思ったら、「予約は受けないので、適当な時間に来てくれれば順番にやる」というのであきらめた。
最近、あちこちに目立つチェーン店である。
仕方なく、隣町にある愛車の購入先である家電量販店まで行ったが、ここも修理予約は受けるが3、4日後になるという。
なんてこった…
昔は町のあちこちに自転車があり、パンクでも何でもちょっと調子が悪ければそういう店に持ち込めば、油まみれの手をした親爺がすぐに直してくれた。
そういう記憶があるのに、便利になったはずのこの時代はタイヤの交換ひとつするのに随分と時間がかかるものである。
気の短いボクは「なんて七面倒臭いことだ、自分でやりゃぁいいんだろっ!」とタイヤを買って、フラフープのように肩と首にかけ家に戻った。
パンク修理は何度か自分でしたことがあるので、タイヤをリムから外し、再びハメるという作業は経験済みである。
しかし、それもずいぶん昔のことで、もうずいぶん長いことやったことが無かった。
始めてみると案の定、苦戦した。
そもそも家電量販店の店員がタイヤサイズを間違えたんじゃないかと思えるくらい、リムにタイヤがはまらないのだ。
特性工具があるのだが、役に立たない…
ネットで修理の手順を確認したりした挙句、強引にねじ込むようにハメたが、昔のパンク作業はもっと楽に済んだはずで「こんなはずじゃなかったのに…」という気分である。
それでもともかく、修理以降、何キロも走っているのだから首尾は上々ということだろう。
それにつけても、タイヤは「世界の工場」を自認する国の製品だが、走っているうちにボロボロ破けたり、走るだけでみるみる擦り減ってしまうような粗悪品を作っているんだねぇ。
信用なくすよ。
タイヤ交換に味を占めたわけではないが、ブレーキを遠隔操作するためのワイヤーが錆びて、一部でワイヤーがほつれてしまっていて危険なのでこれの交換作業も自前でやることにした。
修理費用はワイヤー代だけなので安く済むし、何より待たされることがない。
しかし、誤算があった。鋼鉄製のワイヤーはペンチでは切断できず、ホームセンターまで行って「ワイヤーカッター」と言う工具を買わなければならない羽目に陥った。
これが修理代並みの値段である。
今回修理したのは後輪ブレーキで、前輪ブレーキの交換にも使えるし、バラを誘引するために使っているピアノ線の展張作業にも使えるので無駄な投資ではなかったと言い聞かせているが…
こちらの修理は初めてだったが、ネットの画像を見ながら手順を確認し、慎重に作業を進めた結果時間は多少かかったが、うまくできた♪
まぁ、昔は何だって自分で修理して大事に使っていたんだろうから、ごちゃごちゃいわずに自分でやればイイんだろうが、すっかり便利さに慣れ、自分の手を汚さずに済ませようという風潮にどっぷり染まってきてしまっているからねぇ…
これから労働力不足の時代が来るというなら、こういうことを手始めに「自力」「自前の力」が問われることになるんだろうな。
たかが自転車修理でそんなことが頭をよぎった。
ハゲハゲのタイヤ
表面を覆っているゴムが擦り減り、破れ、中心部がむき出しになった後ろのタイヤ(前輪は問題ないんだけど)