人様のブログを拝見していて「あしなが蕎麦」「ナラタケ」「丹沢名物」というキーワードが目に入ったのだ。
9月の山形で食べたキノコ蕎麦の味が忘れ難く、その後天然キノコが手に入ったぞと送られてきたキノコでキノコ蕎麦もどきを作って食べてみたのだが、今一つ腑に落ちなかったのだ。
そもそも味付けが違うのだ。
もちろん蕎麦そのもののおいしさも違うのだが、あのキノコの風味が重なりあった何とも言えない野趣に富んだ味が身近には存在し得ないのだという現実を突きつけられると、余計に食い意地というものは募ってくるものなのだ。
このあしなが蕎麦というものが山形のキノコ蕎麦の代わりになるのかどうかは分からない。
でも何か匂う。否、香る。
誘われているようでもあったのだ。
供している店は秦野だという。
思い立ったが吉日と言うではないか。バスで東海道線の駅に出、電車に乗り換えて平塚で降りる。
確かこの駅前に並んでいるバスの行き先表示に「秦野駅」とあるのを見かけた覚えがある。
大磯か二宮だったのかもしれない。
ネットで確かめれば済むことだが、記憶だけに頼ることにした。違ったら次を考えればいいだけの話だ。
仕事で急いでいるのとはわけが違う。所詮はお遊び、暇つぶしなんである。
とっくの昔に労働市場からは撤退している身だ。
良く晴れた空にそびえる丹沢の大山を右に見ながら平塚駅から秦野駅までのバスの所要時間は50分。
運賃はICカード払いで515円。確かに乗りではあった。
バスターミナルの地図で東田原という地名を探すと、歩いて行くには少し距離がありそうである。
盆地の底の町中の蕎麦屋では出していないのかと観光案内所で聞いてみると、オバチャン2人が「私らもアシナガってのは食べますけど、あれは天然のものだからお店で出すのは禁止されていて…、だから町のお蕎麦屋さんでは出さないんじゃないかしら」という頓珍漢さに呆れ、とにかく東田原の東雲という蕎麦屋にはどのように行けばいいのかと聞いて外に出た。
またバスに揺られて15分。
特別な観光地でもない小さな町だから駅前も閑散としていたが、連休3日目である。集まるところには集まるものらしく、店の外で30分ほど待たされた。
ようやく案内された店内でメニューを見るが「あしなが蕎麦」はどこにも書かれていない。
店内を見回して見ても張り紙ひとつない。
外れたか?! と思ったが注文を取りに来たおばちゃんに小声で「アシナガソバ ハ アリマスカ?」とおずおず聞いてみると、こともなげに「はい、ありますよ」。
おばちゃんにもいろいろいるんですなぁ。こういう菩薩のような人もいるんである。
うれしくなって秦野の地酒の「白笹つづみ」の樽酒も頼んだ。
蕎麦屋に入れば酒は必須なんだけれどネ、奮発したのサ。
白笹を舐めていると真打登場。濃い目のツユにナラタケと思しき大ぶりの傘を開いたキノコとナスが蕎麦と同居したものが運ばれてきた。
ウム! 汁が甘い! でもよく味わってみるとキノコのエキスが汁ににじみ出ている!
山形のキノコ蕎麦も汁は甘かったがここまで甘くはなかったゾ。しかし、系統に於いては同類項と認めてもいいだろう。キノコの香りもエキスも染み出ている。許そう。
白笹つづみも甘いのだ。ついでに舌だって…
秦野は甘露の地であった……か。カンロカンロ。何とも良い響きであることよ。
秦野産のそば粉と彼の地の名高い名水で手打ちされた蕎麦の味も素朴さがにじみ出ていて良かった。見直した。
教えてくれたブログ氏に感謝! (もうしちゃったけど)勝手に出かけたボクに乾杯!
平塚駅まで行って秦野行きの神奈中バスに乗る
秋晴れの相模平野をバスは走る♪
右手に見えていた丹沢山塊の大山がぐんぐん近づいてくる
秦野市内を流れる水無川に水が流れ
バスを乗り換えて向かった田原ふるさと公園の大山の頭だけが見えるグラウンドでは地域の運動会が開かれていて
グラウンド脇のカキの木の横の田原ふるさと伝承館にそば処「東雲」はある
ジャ~ン‼
これがメニューにはない「あしなが蕎麦」! と「あしなが」のナラタケ
秦野の酒蔵が作る白笹つづみの樽酒。瓶ごと渡されて「たっぷりこぼしてください」って!
刈り取りの済んだ田の畔脇のノコンギクの花を昆虫の幼虫がかじり
ツユクサも最後のひと花を咲かせているようで、田の畔付近には時ならぬ花畑が出現している
ヤマトシジミはススキの穂先にぶら下がったままゆらゆら揺れつつ、大山の頂を見詰めて物思いにふける
帰りは二宮駅までバスで出、平塚駅の手前で見えた大山を車内から撮ったつもりが架線の支柱に邪魔された
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