熱海駅ではまず、ホームが違うので地下道をくぐって別のホームへの移動が必要である。
これは上下線とも同じで、不便極まりない。直通で利用する客のことは眼中にないかのようである。
あるいは、ここからは別会社です! と強調しているかのようでもある。
15両編成の長い列車はここから3両編成へと一気に5分の1に短縮される。
沿線人口に差があるのだから、このこと自体は致し方ない側面を持つが、通勤通学時間帯には多分6両編成くらいに倍増されるのだろう。
一昨日この電車を利用して驚いたことが一つある。
たった一駅、熱海から丹那トンネルを抜けて隣駅の函南まで、わずか7分間利用したに過ぎないが、痛感させられたことがある。
窓ガラスが汚い! のである。それも、1度も洗ったことがないくらいに汚らしい!
まるで曇りガラスをはめ込んでいるかのようである。
外の景色が薄茶色のフィルターを通してみるような感じで、ぼーっと霞んでしまっているのである。
熱海~函南間は9.9キロである。このうち丹那トンネルが7.8キロだから、光が差し込む距離は2.1キロである。
この短い距離を走るだけで、その汚らしさが浮き彫りになったのである。
この編成の電車だけが汚れているのかと思いきや、帰り道に三島~熱海間で利用した3両編成の電車の窓ガラスも同様に汚れきっていたから、おそらくすべての編成の電車に共通していることのように思われる。
鉄道会社のポリシーなのだろう。
客というものは窓の外の景色なんぞは見ずにじっとしているだけなのだ、とでも考えているのである。
あるいは、当社はお客様の安全に気を配っていますので、正直言って窓の清掃まで手が回りかねるのです、とでも答えるかもしれない。
でも客としては言いたい。「刻々と変化する日本一の富士のお山をクリアカットに覗かせてくれよ」と。
第一、東海道新幹線という超ドル箱路線を有して経営基盤の安定性は抜群なうえに、世界で初めてのリニアモーターカーによる新しい超特急を、新しい路線を敷いて走らせようと挑んでいる会社ではないか。
その足元で、日常使う電車の窓ガラスが、全く掃除された形跡がないというのは、どう考えたって間尺に合わないではないか。
あんたたち地元住民も運んでやるでよ、運びさえすりゃぁ文句あるみゃぁ、てな具合で、客の快適さなどという点は一顧だにしない姿勢・態度が透けて見えるようではないか。
JR東日本の通勤通学電車でこういう態度を取られたら、客は黙っちゃぁいないだろう。
テレビや新聞にすぐに投書され、対応にまごついたりしさえすれば大騒ぎになって社会問題化するはずである。
JR東海を利用する乗客はそれこそ富士山なんぞは見飽きていて、車中では自分の足元ばかり見ているのかもしれないが、例えあまり外を眺めないとしても、汚れ放題よりこざっぱりした乗り物のほうが良いだろうに。
東海道新幹線のテレビ広告は上手だし、スマートだなと思っていた鉄道会社の底意を覗いてしまったようで、いやな気分である。
客席の窓ガラスは汚れ放題だったけれど、まさか運転台のガラス窓は大丈夫だろうねぇ
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