平方録

若者は大樹に寄るのだ

身体の内部の変化の予兆を探り、早めに対処すればするほど楽で簡単とはいえ、実り多いものはそう簡単に手に入るものではない。
部位や種類によるのだろうが、検査といえど、そこに精密という名がつくと、右から左にハイ終わり、というようなわけにはいかない。
検査の後安静にしていなければならず、今回の場合は感染症の心配があるとかで抗生物質の点滴を受け続け、病室で天井を見上げてじっとしているわけだから、病人になった気分だった。

検査でいじくったところが、退院の前の晩にちくちくと痛みだし、ひょっとしたら退院が遅くなってしまうのではとヒヤヒヤしたが、見回ってきた医者は「感染症にかかっていなければ退院してください。それ意外は見守るしかないですし…」と取りつく島もない。
その伝を借りれば、七転八倒の末に息も絶え絶えにならなければ手当はしない、出来ない、という事? だとすれば、何と恐ろしいことか。
朝になって痛みも消えたから良かったものの、ヒヤヒヤものである。
まぁ、これまで近代医学のおかげで生きながらえてきているといっても過言ではないので、信頼するしか道はないのだが…

しばらくは過激な運動もダメ、抗生物質を飲んでいるのだから酒もダメ、とダメダメづくしで、辟易するが仕方ない。
ミニトマトのせん定やらアサガオの弦をからませる支柱を立てたり、軽作業ならいいだろうと、やってみたら随分と気が紛れた。
時は夏。検査結果オーライでぎらつく太陽の下、心底はじけたいものである。

参院選は憲法改正に前向きな無所属議員を加えて改憲勢力が3分の2を超えた。
アベなんちゃらは選挙期間中、一言も触れなかった憲法改正について、大勝してみれば案の定、意欲満々に語り始めている。
恥知らずでひきょうな男だ。

天下のリーダーとしては著しく適格性を書くと言わざるを得ないが、彼の仲間たちもそれに同調していさめるところがないのだから、更にたちの悪いお追従集団である。
こんな情けない棟梁とお追従集団に身を委ねる国民って、何なんだろう。
ダマサレていることに気付いていないから、ある日突然、召集令状が届いて「いったい何のこと? 」と素っ頓狂な声を上げて震えだすまで、ノー天気に暮らすのである。
それじゃあトゥーレイトすぎるんだけどね。

しかし、今回選挙権を得た18、19歳の半数が比例区で与党に投票しているという。特に40%が自民に投票しているのだ。
わが選挙権は20歳からだったが、中学生のころから時の自民党政権に反感を抱いていて、それは今に至るまで変わることがない。
最大の理由は憲法9条に対する自民党のスタンスである。すなわち9条廃棄、自主憲法制定の公言。これはどうしたって交わるところのない違いなのである。

そういう明確な理由がなくたって、本来、若者というのは反権力的な存在のはずなのだが、時代が違っちゃったんだろうか。
新たに選挙権を得たこの年代に加え、20代も30代も40%を超える割合で自民党に投票しているのである。
そろいもそろって鉄砲を担がされる世代なんである。たぶん、そんな事そもそも知らないだろうし、意識もしていないのだろうが、大樹に寄りかかる姿勢が信じられないのだ。



モナルダ
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