北鎌倉駅を発車した横須賀線の下り電車が右に大きくカーブを切り、トンネルに入ろうというあたり、その右手に広がる豊かな緑のその中にこの寺はある。
鎌倉五山の第4位にして臨済宗円覚寺派の禅寺、浄智寺。
あまたある鎌倉の寺の中で、ときどき無性に訪ねて見たくなるお気に入りの寺で、花の寺としても知られている。
雨が3日も降り続いた後にようやくお日様が顔を出した日、風の冷たい日だったが、出かけてみた。
踏切の手前の県道をそれて葛原ヶ丘ハイキングコースへと続く道に入ると、いきなりこの開放的とも言える光景が目に飛び込んでくる
山門に掲げられた「寶所在近」の扁額は円覚寺の開山・無学祖元の筆とされている
「仏を信じ、修行を積めば心の平穏が得られる」という仏の教えだそうな
長い年月とともに擦り減って波打つようなリズムを刻む石段の上に建つのは、鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門
「仏の世界にあって、深く静かで素晴らしい地にある(いる)」という意味の「山居幽勝」という扁額が掲げられている
江戸初期の漢詩人・書家として名高い石川丈山の筆とされている
ウメの古木は手入れが良く行き届いている
いい塩梅の咲き具合だ
紅梅とミツマタが文字通り花を添える
現在の横田南嶺円覚寺派管長の2代前の管長が朝比奈宗源老師で、この寺の和尚でもあった
今はお孫さんが継いでいる
ウメは特段好きな花でもないが、こうして見るとなかなか見応えのある風情だと思う
ハイキングコース沿いの道から見た鐘楼門と書院(奥の茅葺屋根)の佇まい
にぎにぎしさのない枯れたような感じで、しかもあるがままに委ねる…そんな気負いのまったく感じられない、まさに禅の世界を表したような寺だと思う