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平方録

ハモる女子高生軍団にひるむ

一昨日の午後3時ころのこと。
パソコンのワイヤレスマウスがうんともすんとも反応しなくなったので、新しいマウスを買いに隣町のターミナル駅前の大型電気店へ行こうと階段を上がってペデストリアンデッキに出た時だった。
若い女性が大きな声で何かをハモっているなとは思っていたが、1チーム4~5人の女子高生の赤い羽根共同募金を呼びかける声だった。
  
大型電気店へは駅のコンコースを挟んだ南側のペデストリアンデッキから北側のペデストリアンデッキへ抜けて入るつもりだった。
距離にすると300m~350mくらいある。
この間に女子高生チームの前を通過するたびに「おねがいしま~す」の黄色い声が強くなる。
1チームだけなら何とかうつむいたり、そっぽを見ながら通り過ぎればどおってことはないが、敵? もさるもので、つぎから次にチームが現れ「おねがいしま~す」が駅周辺のビルにこだまする。
  
あのチームの女子高生たちにも立ちやすい位置とそうでない位置があるのだろうか。通路の両脇にお互いが顔を見合わせながら立っていて、大きな声を張り上げながら照れ臭いのか、お互い顔を見合わせながら笑っている。
見ようによっては不謹慎で、「募金を呼びかけるんなら真剣にやり給え!」くらいの苦言を呈す人だっているんじゃないかと心配になるくらいだ。
せめてもう少しばらけた位置に立ってくれないかと内心では思うのだが、余計なお世話だろうね。
かくして、まるでラグビーW杯で強豪のアイルランドを破った日本チームの選手たちがロッカールームに戻る際に、相手アイルランド選手が2列に並んで花道を作って拍手で迎えたのと同じような光景の中を大型電気店に急ぐのだった。
ボクは何の偉業も成し遂げちゃぁいないのにね。
  
マウスを買って店を出る段になってハタと考えた。
またあの女子高生たちの壁の前を通って、あの黄色い声の連呼を聞きながら帰るつもりかいと。
ボクは気が小さいのだ。少なくとも心臓に毛は生えていない。
で、帰り道は地下道を行くことにした。
そうしたら案の定、地下街には女子高生チームは1グループもいなかった。
しかし、それもつかの間、地上に出た途端、数グループが待ち構えていて今度はペデストリアンデッキとその下の地上とで2階建てのハーモニーになって「おねがいしま~す」の大合唱になっている。
  
結局ボクは何グループの女子高生たちの前を知らん顔して通り過ぎたことになるのだろうか。
よしんば募金する気があったとしても、あんなにたくさんの女子高生が声を張り上げているところで、どのグループの前に立って募金箱にお金を入れればいいのさ。
入れなかった隣のグループから恨まれたりしないんだろうか、その隣のグループから石をぶつけられたりしないんだろうか、そのまた隣の隣のグループから…
昨日よく眠れないような気がしたのは、このセイだったのかもしれない。
教訓としてボクは10月1日には駅に近づかず、盛り場にも近づかず、女子高生が声を張り上げない静かな海辺などに避難していなくてはいけないと、心底思いましたね。
 
しかし何ですな、赤い羽根共同募金という古いけれどささやかな気持ちを表す行事の影で、菓子折りの底に金貨を忍ばせてお土産に置いてくるなんて時代劇のようなことが、今も堂々と残っていて「越後屋、おぬしも悪だのう」なんてことが、若狭の国を舞台に行われていたんですなぁ。
  
あらゆる意味で、お仕置が必要でしょうよ。
 
 
海の家もなくなり、広々とした砂浜が戻った片瀬西浜
 
盛場を避けてこういうところにいるのが一番
見出し写真は赤い羽の募金を呼びかける女子高生たちが並ぶ1日の湘南の某駅頭風景

こちらは片瀬東浜
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