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平方録

美味しいキノコ蕎麦は遠いや

去年、一昨年と続いて今年もまた秦野まで出かけて行って「アシナガ」の入った蕎麦を食べてきた ♪

秦野市の市街地を抜けてしばら行くと、どこか懐かしい感じのする田園風景が広がる一角に田原ふるさと公園があり、公園内の田んぼの脇の「ふるさと伝承館」にその蕎麦屋「東雲」(しののめ)はある。
ここでアシナガの入ったキノコ蕎麦が季節限定で食べられるということを知ったのは2017年秋のことで、去年亡くなった日本画家さんのブログに書かれているのを読ませてもらって、これはぜひ一度食べて見なくてはと思ったのがきっかけだった。

アシナガとはナラタケのことで、秦野特有の呼び方だという。
もちろん天然のナラタケのことで、秋ナスと一緒に油でサッと炒め、そこに蕎麦つゆを加えて煮込んだ汁に打ちたての蕎麦を入れて出してくれる。
炒めてしまっているのでキノコ特有の香りは立たないが、シャキシャキした食感は健在で、しかもアシナガからしみ出したうまみ成分が汁に溶け込んでいるので、そんじょそこらの蕎麦屋では決して味わうことのできない美味しさなのだ。

ボクにとっては、その概念を根底から覆されたキノコ蕎麦が山形に存在するが、これはもう別格本山官幣大社のごときであって、山形でもあの味を確かめたことのある人は多くはないだろうと知人が言うくらいのキノコ蕎麦である。
なにせ地元の山野で採れたばかりの様々なキノコが汁も隠れるほどドッサリと入って、大きな鉄鍋で湯気を立てながら供されるのだ。
それだけでもその壮観さに腰を抜かしかけるほどだが、それをお椀に掬い入れたところに蕎麦をつけて食べるのだから、しみ出したキノコのエキスの絡んだ手打ちの蕎麦ははほっぺを落とすほどにおいしい。
これを食べたらもう全国どこの蕎麦屋のキノコ蕎麦も赤ん坊かヨチヨチ歩きの幼児の如き存在と同じで、敵うものはどこにもいない天下無敵の存在だと思う。

別格本山は大事に取っておくが、ささやかではあっても、神奈川という地元なりの天然物の味を堪能し、それでもって満足しなければいけないということもまた世の中なのだと、自分自身を納得させ、はるばる秦野までアシナガの蕎麦を味わいに出かけて行くのである。
3年連続の味わいだったが、何れにしたってキノコ蕎麦は遠いのだ。


地元でアシナガと呼ばれるナラタケの入ったキノコ蕎麦
メニューには時価と書かれていたが1650円だった
店にはいておばちゃんに「アシナガの蕎麦ありますか」と聞いたら、顔中を笑顔にして「ありますよ」と答えてくれた
見出し写真は沈んでいたアシナガを探し出して並べてみたところ
案外たくさん入っていてうれしかった ♪
ここには地酒の白笹鼓が置いてあるが、今年は車だったのでそれはあきらめたのがちょっと残念!

「東雲」の目の前に広がる田んぼ
小田急線秦野駅から神奈中バスで「中庭」バス停下車徒歩3分

去年は10月18日に行っていて、10月19日のブログにもアシナガ蕎麦のことを書いているが、リンクの張り方が分からないので悪しからず

かかしコンクールなんてものもやっていた 右端のかかしが最優秀賞だそうだ

去年はなかったコスモス畑も出現

出始めのススキの穂にはグラデーションがあるのを改めて知った

蕎麦屋の脇に建つ、暗殺された鎌倉幕府第三代将軍実朝の首塚とされる五輪塔

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