初めに「ヨコハマ市民を見直した」と声を大にして言っておきたい。
昨日投開票が行われた横浜市長選挙で、IRを含む統合型リゾート施設を横浜港に誘致する計画に真っ向反対する候補を当選させたことは実に良かった。
小中高校と地元の学校に通い、大学は東京に通ったものの、横浜に本社を置く会社に就職して半世紀以上を過ごした街である。
30歳そこそこで住まいこそ横浜から鎌倉に移したものの、船の汽笛の聞こえるところで育ち、働き続けたものにとってヨコハマは今でもこれからも特別な街である。
そんなところに降って湧いたのが山下公園に隣接する山下ふ頭に国際的なとばく場を作ろという、血迷ったとしかいいようのない計画だった。
日本では禁止されているとばく場を政府公認で作ろうという計画の首謀者は誰あろう官房長官時代のガースである。
しかも、4年前に3期目を目指して立候補した女性市長が「IRについては白紙」と如何にも反対の姿勢を示したことで、楽々当選を果たしたら、その舌の根も乾かないうちに「山下ふ頭への立地を考え調査を開始する」と態度を豹変させたのだった。
怒った市民は直接投票条例の制定を求めて署名運動を展開、法定数の3倍の署名を集めて市議会に提出したが、自民・公明の与党は市民の声を一顧だにすることなく否決してしまった。
そして今回の選挙。
芥川賞作家の元長野県知事や元神奈川県知事、元衆院議員まで加わって2、3人辞退者が出たものの総勢8人もが立候補しての選挙戦になった。
この混乱ぶりに輪をかけたのが現職閣僚の小此木八郎国家公安委員長で、IRの首謀者であるガースとたもとを分かつように辞表を提出し「横浜への誘致は推進しない」と訴えて立候補したことだ。
自民党は高齢を理由に現職の公認をしないことを表明していたものの、候補者探しは難航していた。
IRに賛成してきた自民党市議団はIR反対を訴えて立候補した小此木を手のひらを返したように公認するわけにいかず、立候補した女性現職を支持するものとに分かれる分裂選挙を展開せざるを得なかった。
余談だが、小此木の敗因にひとつは、たもとを分かったつもりのガースが小此木支持に名を連ねたことかもしれない。
不人気者に抱き着かれてはイメージが悪くなるばかりで、「困ります」とも言えず、さぞや困ったことだろう。
当選した新人は立憲民主党が擁立した横浜市立大学の山中竹春教授で、コロナ禍にあって様々な分析を行っていて、しばしばマスコミに登場して名前が売れていた。
そこに援軍として加わったのが、これまでガースや小此木と昵懇だった‶ミナトのドン〟と呼ばれる港運業界の大ボスで神奈川の政財界に大きな影響力を持つ藤木幸夫氏で、90歳を超える老体をものともせず山中陣営に馳せ参じ、あからさまにガースと敵対関係に入ったのだった。
ことIRに関しては‶ミナトのドン〟の姿勢は一貫していて、反対し続けている真の理由を直接会って聞いてみたいところではある。
余談だが、藤木は横浜港の荷役作業を取り仕切りつつ、かつては港湾労働者たちが日銭をかけた賭け事のいわば胴元中の胴元を務めるという、神戸の山口組の親分と義兄弟の杯を交わすほどで「西の山口、東の藤木」と呼ばれた伝説の人物の息子であり、今でも隠然たる影響力を保持しているミナト町らしい存在と言える。
かつて賭博の元締めだった組織を継いだ張本人が「賭博はダメだ」と言うんだから間違いない。
権力をかさに着たガースは様々な意味で「虎の尾」を踏んづけてしまったのだ。
ということで、グダグダと背景説明にもならない話を長々書き連ねてしまったが、とにかくこの選挙結果は横浜市民の良識が示されたということが出来、実に喜ばしいとボクは胸をなでおろしている。
ヨカッタ、ヨカッタ。
結局、市民の意思を踏みにじってまで、どうして横浜港のど真ん中に賭博場を作るんだという無理筋に加え、一連のコロナ無策に辟易している横浜の有権者たちの怒りがここにきて爆発したということは特筆すべきだと思う。
これでソーセンキョが実施されたらどうなるか。
心ある全国津々浦々の有権者たちの心の奥底には相当な怒りのマグマが溜まっているのは間違いない。
その爆発ぶりを早く見てみたい。
自民党はガースの首をすげ替えるなんて姑息なことはしないで、このままガースで戦ったらいい。
全国至る所に存在している虎の尾を踏んづけて、怒った虎に食いちぎられるところを見てみたい。
大ウソつきのアベなんちゃらの分も加えて、まとめて国民の審判を仰いだらいいのさ。
わが家の鉢で咲いていた「バーベナ・パンプトン」
こちらも鉢植えの「アズーロ」
見出し写真はちょっと大きめの鉢で咲く「バーベナ・パンプトン」と「アズーロ」