平方録

トマトの受難。わが身も…

わが家の2階ベランダには今も鉢植えのミニトマトが実をつけている。
勝手に「越冬トマト」と名付けているのだが、すでに食卓に上ったりして残り10数個になってきたので、残りは元旦の食卓に上らせ、雑煮と一緒に食べようと楽しみにしていたところ、伏兵にかっさらわれてしまった。

毎朝、気が付くと鉢の周りにまだ熟しきっていないトマトが落下して転がっているのである。
落下トマトは日ごとに増えていくのである。
そんなことはかつてなかったことで、どうしたのかといぶかって拾い上げてみると、何者かが突っついた跡が残っている。
直径たかだか3センチ前後の実にあけられたほじくりの跡は1センチ程度のもので、おそらく‟犯人″はカラスやヒヨドリなどと違って、もう少し小さなくちばしの持ち主の仕業だろうという推測がつく。

考えられるところではシジュウカラである。
しばらく前に、皮をむいた柿を軒下に吊るして干し柿を作っていたところ、防鳥ネットの下端から覗いている実にすがりついて実をほじくっているところを目撃したことがある。
それがシジュウカラで、その後味をしめたと見えて度々やってきていたずらをしていったのだが、小鳥が突っつくほど甘くおいしいのだと大目に見ていたのである。
それどころか、取り込んでしまった後にカビが生えてしまったものを、わざわざ竹に刺して餌になるようにもしてあげていたのである。
思えば原罪はわが身にあるのだ。

それが餌付けのような形になってしまったのか、干し柿が干からびてカチンカチンになってしまったせいか、今度は同じベランダの一角にあって赤く色づいたトマトに目を付けたらしい。
何せ甘くておいしい食事にありつけなくなる冬場である。そこへもってきて熟したトマトの味は格別なのだろう。
最初に見つけた落下トマトはずいぶんと上手にくり抜きの穴が残っていたのである。夢中で食べたに違いないのだ。

気温が低いせいか、夏のトマトに比べて冬場のトマトの熟し方はとても遅い。
それ故か、まだ十分に熟しきっていなかったり、挙句にはちょっと色づき始めたものまで、待ちきれずに突っついて落下させてしまっているのだ。
この犯人がいつも憎たらしいヒヨドリだったりカラスだったりしたら黙ってはいないのだが、黒とグレーの衣装に黒っぽいネクタイまでしたシジュウカラには好感が持てるのである。
これもまた自然の成せる業かという思いで成り行きに従っているのである。

トマトにしてみれば自分の身に雪が積もったり、小鳥にほじくられたり、波乱万丈の生涯であろう。ちょとオーバーかな。
いずれにしたって来年は越冬トマトなんてやらないし、今年限りの一場の夢なのである。

           🔶
パソコンを含めたわが電子機器のiCloudは使えないままで、昨日も数時間悪戦苦闘してみたが未だに復旧せず、途方に暮れてきているのだ。
当たらずとも遠からず、そんな答えでも正解にしてくれるのがわれわれの世界なのだが、コンピューターの世界はグレーゾーンを決して認めようとしないのである。
グレーゾーンを備えたコンピューターが開発されればノーベル賞は間違いないんだろうけどね。



突かれ、実をほじくられた跡を残して鉢の下に転がっていたミニトマト(下)と、収穫した越冬トマト

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