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平方録

残りの人生 鼻歌交じり ♪

4年前、転ばぬ先の杖のつもりで受けていた検査で気にしていた病巣が出来ているのが分かり、手術を受けた。
手術前にやる様々な検査を終えて担当医のところに行ったら、担当医がニヤニヤしながら「まじめに検査を受けませんでしたね」とボクの顔を覗き込む。
何を言ってやがるといささかムッとしかけたのだが、聞いてみると「肺年齢が90代ですよ」と言うではないか。
確かに肺活量ともう一つ、何やら息を思いっきり吐かされる検査があり、途中で空気が漏れてしまうよな頼りなさに手こずったのは覚えているが…

90歳台と言われてみればその通りで、確かに坂を上る時とか階段を上がる時に息が切れるようになっていて、万年青年を自負していたボクとしてはいささか忸怩たる思いを抱き始めていたのだった。
だが、それがまさか90歳台の肺年齢だとは思いもよらず、結構ショックを受けたのを覚えている。
もし80歳まで生き永らえることができたとして、その時の肺年齢は100歳かい…仮に90歳まで生きちゃったら…
肺の機能ってのは何歳くらいまで維持できるものなのさ…という具合に、ある種の絶望感みたいなものまで漂ったものだ。
で、その時は肺年齢より差し当たって受ける手術の方が気になって、無視していたら、最近、ズバリ肺年齢をテーマにしたテレビ番組に出くわした。
「お前さんが気にしていたのはこのことだろ」という、渡りに船の番組である。

それによるとどうも肺年齢の老化が著しいのは現代病であるらしく、基準値を超えて健康そのものと思える肺活量の持ち主であっても、調べてみると肺年齢が劣化しているという人が多いんだそうな。
番組では50代の男性タレント2人と30代に入ったばかりの女性タレント1人が検査を受けたところ、3人とも肺年齢が相当高齢になっていて、50代の男性2人は88歳と診断され、かなり落ち込んでいた。
ボクは年齢プラス20歳だが、彼らは年齢プラス30歳も年取っていることになり、目くそはなくそを笑うのたぐいだが、ボクはなぁ~んだ、という思いで優越的気分に浸ったのでアリマシタ ?!
ま、冗談はともかく、現代病の一つであることは間違いないらしい。

横隔膜の不活動がその理由なんだそうな。
どうも現代人の大多数は横隔膜を使った深い呼吸が出来ていないのが理由らしい。
コーラスグループが出てきて同じ検査を受けてみると、軒並み15歳とか20歳も若い数値が出た。
日ごろ声を出して歌の練習に取り組んでいるのが良いらしい。そして驚くことに声を出して歌う練習以外に鼻歌まで大まじめにやっている。
つまり、鼻から吐く息だけで一つの曲を奏でるんですな。
肺年齢を研究している専門医がこの鼻歌を「横隔膜の活動活発化による肺年齢若返り法」として推奨し、自分でも「我は海の子」を朗々 ? とした鼻歌で奏でて見せて、なるほどと痛く感心させられた。
肺の中の空気を全部出す感じの鼻歌だった。そこがミソだろうな。

坐禅も浅い息はご法度で、まず「肺の空気を全部吐き切れ、吐いて吐いて吐き切って空っぽにして」と言われ、今度は「吸って吸って、胸いっぱい吸って」と、それも時間をかけてゆっくりゆっくりやるのだと指導される。
特に重要なのが吐くこと。吐き切ることだと教えられる。
件の専門医も同じことを言っていた。「吐くこと」「吐き切ること」と。
当然ながら肺年齢の高いボクなんか、たかが呼吸なのに一苦労させられ、水の中にいるわけでもないのに、静かに呼吸しているつもりなのに、苦しくてアップアップしてきて溺れそうになってしまうのだ。
ここまで来ちゃうと悲劇じゃなくて喜劇なんだろうなと思いつつ、笑いごとであるはずがないのだが、ヤレヤレとわが身を笑うしかない。

「まずは自分の呼吸している姿を見詰めて坐るのです」――とは円覚寺の横田南嶺管長の教えだが、これが難敵なのはひとえに横隔膜のサボタージュが原因だったことが分かり、その改善に向けて残りの人生を鼻歌交じりに生きることにしたってのが、今のボクの決意であり、心境である。
なんのこっちゃ。


iphoneでも撮れるカワセミ君(くちばしの下側に赤っぽい部分があるとお嬢さんらしいが、なさそうだし…)

近所の池のある公園でいつも見かけるカワセミだが一昨日2羽でいるところを見かけた。つがい ?  それにしてもテリトリー的に成り立つのかどうか、あり得るのだろうか…

水面すれすれにいつも出入りしている場所の方(巣 ? )へ飛んでいくカワセミ君
(スマホじゃこんな程度にしか撮れない。雰囲気だけ)
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