平方録

物好きにも凍えてきた

今年一番の冷え込みを突いて東京まで出かけ、イルミネーション見物をしてきた。

「東京ミチテラス2017」という催しが東京駅丸の内前広場から皇居に伸びる行幸通りを中心に開催されていて、仕事納めのこの日が最終日である
寒さに対する耐性を持たず、寒いのが大っ嫌いのくせに、我ながら物好きなことだと思うのだが、こういうのを妻が好むのでご機嫌伺をしてみたのだ。
誘ってみたら二つ返事で行くというので、ちょっと銀ブラもして東京駅前に向かった。

丸の内のオフィス街を抜けて行ったのだが、ここの葉を落として裸木になったケヤキ並木に取り付けられたイルミの光もすごくきれいである。
会場の行幸通りには有楽町側からはアクセスできず、大回りさせられて神田方面に並ばされる。
会場にたどり着けば鉄製のフェンスでびっしりと仕切られた順路を流れに従って一方通行で歩かされ、写真を撮らせてはくれるものの係りの人が「撮ったら早くどいて他の人に場所を譲れ」とがなり立てる。
日本人お得意の静かなる行列、順番をおとなしく待つしつけは行き届き、秩序を保ちつつ前に進んでいく。こうした性癖はここでも大いに発揮されているのだった。

イルミそのものは高さがあるものではなかったから、行幸通りの人波の中に入ってしまうと行列越しに光が見える程度で、特に美しい光景が展開していたわけではない。
これが一目で見渡すことが出来る程度の人波だったら連続する光源が発する光はきれいに見えるだろうが、すべて人垣が衝立になってしまっていてはぶち壊しなのだ。
演出したのは外国人らしいが、日本や中国でこの種のイベントを開くときは、その辺りを考慮に入れたほうがよさそうだね。
目の高さ以下のところに並べるんじゃなくて、人垣の上に出る光源というものも考えた方がいいだろうね。余計なお世話だけど。
ケヤキ並木のイルミが引き立つわけですよ。

話は変わって、イルミの前に寄った銀座のこと。
さしたる目的もなくショーウインドーを眺めながら街をぶらついただけなのだが、この銀座をぶらつく行為を「銀ブラ」と呼んでいたはずなのだが、異論があるのだという。
某喫茶店でブラジルコーヒーを飲むことを指して「銀座でブラジルコーヒーを飲む」が「銀ブラ」の語源であるという説。
んなバカな! と眉に唾をこすりつけるが、テレビが大真面目で放送していた。

〝電動紙芝居屋〟の本領発揮ってとこだろうが、国語辞書には「銀座をぶらぶら歩くこと」という趣旨の説明がされていて、三省堂国語辞典でははっきり「誤り」と書き添えられているそうだ。
曰く「東京の銀座通りをブラブラ散歩すること。〔大正時代からのことば。『もと、銀座でブラジルコーヒーを飲むことだった』という説はあやまり〕」と。
んだんだ。もっともだ。

ところで横浜の伊勢佐木町にもかつて「イセブラ」という言葉があった。
これはかなり通用していたが、変は変なのだ。というのは、ハマっ子は伊勢佐木町を口にするとき、長ったらしくイセザキチョウなどとは言わずにただ「ザキ」と縮めて言っていた。
でも「ザキブラ」とは言わずに「イセブラ」と言っていたんである。確か…
たぶん語感の関係なんだろうと思うが、まぁ、それだけにぎわっていたことだけは間違いない。
しかし、銀座と違ってザキの落ちぶれかたは目を覆うばかり。

メーンストリートに設置された青江三奈の歌碑から流れる「イ~セザキ辺りにぃ~ 明かりが灯ぉ~るぅ~♪ 」が空しく聞こえるばかりだ。




東京駅丸の内広場から行幸通りで繰り広げられた「東京ミチテラス2017」








月も!


丸の内オフィス街のケヤキ並木もきれいである
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