東日本大震災が起きた3月11日は2カ月余り続いた資源保護のための禁漁が明ける日である。
飲み屋が大きな看板を掲げるくらいだから、漁師と契約を結んで初モノの確保に動いたんだと思う。
黒潮の流れが大きく蛇行して相模湾のはるか南を通ったため、湾内の水温が上がらず、昨年は年間を通して不漁が続いた。
その黒潮の流れに変化がないとすれば、今年も同じように不漁となるはずだが、どんな塩梅だろう。
ピチピチの生シラスがわが喉を通過するのはいつのことになるのだろう。楽しみなことではある。
鶯の脛の寒さよ竹の中 尾崎紅葉
わが家の周囲でもウグイスの鳴き声が頻繁に聞こえるようになった。
恋の季節なのである。
庭にはツバキの茂みがあるから、蜜を吸いに来てもらっても良いのだが、ウメにウグイスはつきものでもツバキは好まないのだろうか。
やってくるのはメジロは良いとして、乱暴者のヒヨドリも姿を見せるので敬遠しているのかもしれない。
シラス漁も再開して本格的な春なのだが、これが一向に春らしい陽気に恵まれない。
それどころか、ここ2、3日は冷たい雨に降りこめられて真冬に逆戻りしたかのような日が続く。
だから昨日の外出はダウンジャケットを身にまとって家を出なければならなかった。
菜種梅雨と呼べば情感はあふれるのだが、とてもそんな情緒とはかけ離れた寒さで、とにかく太陽が恋しい。
2週間も経てばサクラが開花するそうだが、ホンマカイナという気分である。
ラジオのニュースで耳にしたのだが、東京築地の中央卸売市場の移転にともなって、えさ場を失うことになるネズミが周辺に散らばるのを防ぐため、都だか区だかがネズミ取りの籠やら殺鼠剤を配ることにしたんだそうな。
一体どれくらいの数のネズミがいるんだろうか。
いずれも丸々と太ったネズ公たちに違いないが、そんなものにうろちょろされたら住民はたまったものではない。
井上ひさしの小説に「百年戦争」というのがあるのを思い出した。
銀座のネコ軍団と築地のネズミ軍団との百年戦争を描いたものだが、風刺に富み、ユーモアあふれる“ひさし節”さく裂の一作である。
それが現実になるのかもしれない。
しかし、太ったネズミどもに大挙してやってこられたら、すまし込んだ銀座のネコどもに太刀打ちできるのか。第一、多勢に無勢だろう。
さぁて、お立会! この勝負の行方や如何に…
春風や鼠のなめる隅田川 小林一茶
面白いことになってきた。
飲み直しに立ち寄った行きつけの焼鳥屋は湯通ししていない皮が絶品なのだ。シラスは次の機会に…
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