酒を断って12日が過ぎた。
当然のことながら12日間もの間、一滴も口にしていない。
匂いすら嗅いでいない。
普段は休肝日の勧めにも背を向けて365日飲み続けている身にしては尋常ならざる‶異常事態〟といっていい。
断酒しようという自らの意思が働いたわけでなく、内視鏡を使って大腸のポリープを取ったので医者の強制的な指示に従ったまでのことだが、ほんの3、4日のつもりだったのだが、想定外に期間が伸びてしまっている。
これも自らの意思とは違っていて、病院に1泊した後すぐに家に戻り、それから2、3日で解禁するはずだった。
それがズルズル伸びているのは、大きなポリープを取ったのと、小さなものを10数個も取ったので、出血が止まらなかったのだ。
退院してもしばらく家で安静にしていろということだったが、散歩くらいいいだろうと退院した翌日、1万歩を越えてアップダウンを繰り返し、波打ち際の歩きにくい砂浜の上を歩いたりしたのがいけなかったのかもしれない。
いずれにしても出血は止まり、週明けくらいからすべて普段の生活に戻そうと思っているが、この間、思わぬ効能もあった。
消化を良くするため最初はおかゆだったが、普通のご飯に戻してからはとてもよく噛むように努めている。
これが案外、食事を楽しく味わい深くしてくれるのに役立っているようで、ボクにとっては眼からウロコの新発見だった。
第一、しっかり噛まないと気持ちが悪いし、十分に噛んだ後でなければ飲み込もうという気がしない。
以前はと言えば「早飯、早〇〇、早仕度」が何より大事だと先輩から言われ続けるような仕事に就いていたし、ひとたび事が起これば早飯どころか、食事にだってありつけないようなことは、特に若い頃は日常茶飯事だった。
だから飯を早く食べるなんぞは、それこそ朝メシ前で得意技と言ってよかった。
そして嬉しいことに、絶食やらおかゆ暮らしが続いたためか、やや肥満気味(気痩せするタイプなのか、傍から「太っている」などと言われたことはないが…)だった体重が現役時代の動きが軽かった時の体重である70㎏前後と言うベスト体重に戻ってしまった。
昨日の昼食後に計ったら71㎏ジャストだった ♪
5㎏は痩せたことになる。
これは思いもかけなかったことで、「この僥倖は生かさなければ…」という気持ちが今ふつふつと沸いてきている所なのだ。
なんてったって-5㎏は大きいぜ。
今、意図して腹八分ではなく、腹7分くらいにしているが、腹が減って仕方ないというようなことはない。
そもそも以前の食生活が食い過ぎだったという気がしている。
特に晩酌を伴う夕飯は山の神も一緒に飲むこともあって酒は進む。
進むにしたがってつまみとして口に運ぶ量も手数も増えるという訳だから、どう考えたって飽食気味になってしまうという反省が首をもたげる。
そもそも酒自体のカロリーが高い訳だし。
という訳で、体重は下がったところを維持したいし、酒も飲みたい…と欲張るが、はたして両立しうるのか。
そこが思案のしどころで、正直言って今悩んでいる。
酒の量を減らし、つまみもそこそこにして、予め出される夕飯のおかずのみをつまみとするよう、きっちり決めてそれ以外は我慢しておく…などと、方法はいろいろありそうだ。
それに「一切止める」か「すっかり元に戻す」という二者択一以外に「時々飲む」という折衷案もあるにはある。
「時々」を採用するにしたって、そんな器用なことがボクに出来るだろうか、という不安も付きまとうが…
さて、どうなりますことやら。
すべてはボクの意思次第 ♪
(見出し写真は近所の寺の境内に咲くヤマアジサイ)