見出し画像

平方録

野菜が安い今の内だよ

相模湾と東京湾に挟まれ、南には太平洋を望む三浦半島の先端一体は低い丘陵が広がるダイコンやらキャベツ、スイカなどの名産地である。
ブランド野菜で、それぞれ「三浦ダイコン」「三浦キャベツ」「三浦スイカ」と「三浦」の冠を付けて他の同種野菜と区別して売られている。
その三浦半島で出荷の最盛期を迎えている三浦ダイコンが今、出荷されることなく廃棄されているという新聞記事を読んだ。

暖冬で野菜の生育が良く、供給が安定しているところに持ってきて消費する側がこれも暖冬の影響で鍋料理をする機会も減り、さらにはコロナ禍で外食が減っているところに忘年会まで自粛モードに入っているため、消費が思うように伸びないんだとか。
例年だと10㎏当たり900円~1000円していた出荷価格が750円にまで下がり、肥料代や農薬代などに加え出荷に使う段ボール代や運送費を考えると、もう廃棄するより仕方ないという。
廃棄野菜を持ち込んで処理する施設には例年11月~4月までの間に1500㌧~2000㌧持ち込まれるそうだが、今年は11月下旬までだけで既に1300トンにも達し、そのほとんどがダイコンだという。
農家の心中は察するに余りある。

味のしみたおでんの大根は何よりの酒の肴だし、大根おろしならドンブリ一杯だってイケる。
カツラむきにしたものを軽く塩水で洗ったものをそのまま食べるのもいいし、緑の葉っぱだって細かく刻んで白いご飯の上に乗せ、掻き混ぜて食べるのも好きだ ♪

何てったってダイコンにはたっぷりのジアスターゼ(アミラーゼ)という物質が含まれている。
そのジアスターゼ由来の消化を助ける「タカジアスターゼ」って酵素はその昔、高峰譲吉が細菌の中から抽出に成功して自分の名前の一部をくっつけて世に出し、あの坊ちゃんセンセイの夏目漱石が愛用したクスリである。
漱石センセイはことのほか胃腸が弱かったのだろう。
そこまで薬に頼らずともダイコンをボリボリかじっていれば消化を助けてもくれるのだ。頼りになるんだダイコンは。
それを捨ててしまうとは…

昨日、コタツのシミになっているばかりじゃ運動不足だと、買い物に出かけるという山の神にくっついてスーパーに足を運んだのは、人足としての役割もさることながら野菜の値段をこの目で確かめてみようかという気もあった。
確かに三浦キャベツは99円だったし、三浦ダイコンは150円台だった。
山の神の言によればおしなべて野菜は安いという。
ならばと、昨日の夕食は野菜をこれでもかと入れたキムチ鍋にしてたっぷり野菜で腹を膨らませた。
今頃ボクの腸は目をパチクリさせながら大量の繊維にこれ幸いと大掃除を敢行していることだろう ♪
こういう大掃除なら何度でもイイネ。



名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「随筆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事