水揚げされたばかりの飛び切り鮮度の良いサバの、それも丸々と太って如何にも脂が乗っていそうなサバの姿である。
そういう状態のサバだから当然のこととして目は生きているようにランランと輝いている。
3、4年前に腰越の行きつけの魚屋が閉店してしまい、魚屋の店先でも覗いてくるかという目的のはっきりした散歩が出来なくなり、実に悲しく寂しい思いをしているのだ。
それに代わりうる魚屋がないではないが、スーパーのような規模の大きな魚屋で、地元で揚がった魚ももちろん並ぶのだが、同時に全国で水揚げされる魚も大々的に扱っているから魚種の豊富さから言ったら魚っ食いには申し分ないのかもしれないが、ボクは偏狭にも地元相模湾産を偏愛しているのだ。
例えばアジ。
最も味が良くなるのは産卵期を控えた初夏から真夏なので今の時期は旬ではないが、それでも魚屋の店先からアジの姿が消えることはない。
産地を聞けば九州だったり東北だったりして、多分西の方から届くアジは養殖物が多いのだと思うが、手を出す気にはなれない。
何せ目の前の海で揚がった魚を食わずに、わざわざ遠くから運ばれてくる魚を食う気にはなかなかなれないのだ。
待っていればやがて新鮮で安いものが手に入るのだから。
サバについていえば、これは今まさに寒サバの季節であって、三宅島付近に好漁場があり、三崎のサバ漁船や伊豆・下田あたりの漁船が大挙して操業している。
だからサバに限って言えば、今魚屋の店先に並んでいるサバの大部分は地元相模湾産のサバということになる。
まさに旬のサバが出回っているのだから、買い! である。
正確に言うと三宅島は相模湾のちょっと先だが、まぁ誇大広告とまでは言えない、許容範囲ではないか?
相模湾で獲れたばかりサバを目にすると、大概はほかに目もくれず買って帰ってシメサバにして食っていた。
その締め方も軽いもので、塩で締める時間は小1時間。
そして酢に新鮮なレモンを数個絞って、そこに浸すのも15分~20分程度という短いものである。
レモンを加えるのは、そうすると「まろみ」とほのかな甘さも加わるためで、これは直木賞作家の高橋治氏直伝の技なのだ。
シメサバとは言うけれど、ほとんど生で食べるようなもので、でもナマではないというのがボクの好みであったのだ。
これはずいぶん長い期間続けていたから、たまに外でシメサバを食べるような機会があっても、締め過ぎにがっかりさせられることが多かった。
ところが、もう3、4年前になるが妻がボクの作ったシメサバでアニサキスも飲み込んでしまい、胃カメラまで飲み込む羽目に陥ったのだ。
以来、1人で食べてもおいしくないのでシメサバとはご無沙汰が続いていて、ピンピンのサバを見ても心が躍らなくなってしまったのが悔しい。
今度復活させるときは24時間冷凍庫に入れたものを〆るようにするつもりだが、いつのことになるだろうか。
シメサバ復活の日の来たらんことを!
近所の自然公園で初音を待っていて、フト視線を下げたらアシやガマの枯れ茎の中にアオサギがじっと立って餌を狙っていた
管理人の話ではアシの茎に虫がいるらしく、ウグイスがやって来て笹鳴きが聞こえると言うが声も聞こえす姿も見なかった
池の一角では最近寄りついている「はぐれウ」がカメと並んで日向ぼっこをしている
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