湘南海岸の波打ち際近くを走る「湘南海岸自転車道」を走っていて目にした出来事である。
5月の大型連休が終わると風によって吹き飛ばされた海砂でコースがすっかり埋まってしまうところが続出する中で、この辺りの百数十メートルはきれいにアスファルト舗装が現れていて何の問題もなくスイスイ走れた区間だったのだ。
それというのもコースわきの砂浜は海浜植物が目にも鮮やかな緑のじゅうたんを成していて砂の飛散を防いでいたからである。
その緑のじゅうたんの上に何と重機が入って何やら大型のショベルを動かしているではないか。
何をやっているんだろう? と訝りつつ近づいていくと、せっかくの緑のじゅうたんをショベルカーが大型ショベルを使ってはがしにかかっていて、一部は既に緑がはぎとられ灰色の砂がむき出しになっている。
何ということを‼
そう思ったら、今度ははがした緑をショベルに摘んだままショベルカーが砂浜を移動してゆく。
移動先は3~40メートル離れたじゅうたんのない所で、そこにはぎとった緑を下ろすと作業員が手で平に直していく作業をしている。
で、最初はハハァ~ン、緑が剥げてしまった部分に補植をしてじゅうたんを再生して広げる作業なんだと理解したんである。
ところが、この考えは善意に過ぎたようで、すぐにそれにしてはちょっとおかしいということに気づく。
と言うのも所々市松模様程度にじゅうたんをはぎ取っていくのなら、はぎとられたところの再生修復も植物自らの力で可能だろうが、辺り一面残らず引っぺがしているのである。
これじゃぁ修復も何もあったものではない。丸裸である。
わざわざ見事なじゅうたんを成しているものを何故はぎとるのか。はぎとって移し替える必要などなく、そのままを保っていれば今までどおり十分に飛砂防止の役目を果たしてくれ、目にも潤いを与えてくれているものを…と誰だって思うはずである。
剥げている所には種を蒔くなり、それこそ元気よく生えているところからブロック状のものを切り出してきて市松模様程度に並べれば一定時間が過ぎれば全体が緑に覆われる日も遠くないだろうに。
理由は下水の「放流管築造に伴う砂丘植生移植工事」なんだそうである。
バカも休み休み言え! ほんの3~40メートルずらせばあんたらが緑の塊をわざわざ運んでいる緑のない砂浜があるじゃないか!
そこに放流管なるものを通せばわざわざこんな七面倒くさい作業をしなくたって済むではないか。
今ある緑だって保全される……
まったく小役人のやつらのやることと言ったら、首の上に乗っかっている目や鼻がくっついているまあるい骨に包まれた物はいったい何んなんだよ! と聞きたい。
こんなバカげた作業をするくらいなら海浜植物の茂っていないところにタネでも撒いて緑化に協力しろ。
すると得意顔になってこういうはずである。「手前どもの所管するところではございません」と。
幅が5~60メートルはある松林も突っ切らなければ浜には届かない。まさか松をぶった切るつもりじゃないだろうな。
土手カボチャ役人どもめ!
湘南海岸自転車道を走っていたら緑のじゅうたんの中に重機が入っている
よく見ると緑の塊を掘り上げている
塊をショベルに乗せたまま砂浜を移動してゆく
3~40メートル移動して運んできた塊を砂浜に下ろすと作業員が手でならしていく。平らにした上からちょろちょろ水を撒いている作業員もいる
自転車道のぎりぎりまできれいにはがされてゆく
こんな看板が
緑のじゅうたんがない所では強い風が吹くたびに砂が飛ばされ自転車道を埋め尽くす=2018.4.26撮影
この数十メートル先辺りが工事個所で、工事が始まるまでは強い風が吹いても自転車道は砂に覆われることもなく、いつだってこういう状態が保たれる場所だったのだ=同
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事