寒さがぶり返して来たとはいえ、野に出ればウグイスの鳴き声が届き始め、草むらや道端の草草も萌え出して春の装いが始まっている。
最近は「星の瞳」という別称が使われるようになっているオオイヌノフグリは花びらの青さを際立たせてきて、群落に出会えば青い星のかけらをばらまいたように辺り一面が青く光り輝いている。
ピンク色のじゅうたんの広がりが目に入れば、咲いているのはホトケノザで、顔を近づけて小さな花の一つ一つをヨォっく見てみると、一風変わった表情を見せていて、その手の込んだ複雑さに驚かされる。
ホトケノザで間違いなかったよなと確認のために手元にあった「散歩が楽しくなる雑草手帳」(稲垣栄洋著、東京書籍)という小さな本を開いてみたら「へぇ~」「ほぉ~」と眼から何枚か鱗が剥がれ落ちた。
特にこんな記述には驚かされた。
「花の形が変わっていて、鳥のヒナが口を開けてエサをねだっているように見える。これが上唇と下唇を開いた口のような形をしていることから唇形花(しんげいか)と呼ばれる。
下の花びらの模様は訪れるハチに着陸場所を示すためのもの。そして、上の花びらにある線は蜜がある花の奥へとハチを誘導するためのもの。
ホトケノザの花は細長い花の一番奥に蜜を隠し、花粉を運んでくれるハチだけに蜜を与えるように工夫されている。
花の奥にたっぷり密を蓄えているので、花を抜き取って基部をなめると甘い。学校帰りに道草を食う子どもたちのおやつにもなる」
確かに下の花びらには赤い点が5つ見え、真ん中の点に身体の中心が来るように着陸すれば4つの点は前足後ろ足の置き所になる。
足は6本じゃないかって?
下部が横に広がっているのはそのためさ。後ろ足4本を置くには過不足ないスペースのはず。
ヘリポートのHの模様が描かれているのと何ら変わらず、ヘリポートはホトケノザをまねて作ったんじゃないだろうな。
上の花びらにある線は蜜がある…云々のところは良く分からなかったが、もっと奥を覗き込めば線が見えるのかもしれない。
いずれにしても2~3㎜しかない小さな花びらに良くもまぁ様々な仕掛けが…と自然界のやることには驚きを通り越して呆れさせられる。
そして上唇に当たる部分にノドチンコのように見えるオシベとメシベはハチが夢中になって花の奥の蜜を吸うために身体をのめり込ませると、背中にちゃんと花粉が付くように設計されている。
道端のこんなちっぽけな花に手の込んだ仕掛けがあって、営みが続けられている地球の大自然って、つくづくすごいと思う。
昨今の滅入りがちな気持ちに希望のともし火がポッと点いたような気分になった ♪
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/7e/d0fc0916b1ab23285f3b06499efaff1b.jpg)
こちらハチ1号、着陸許可願います
赤い点4つと線が「下唇」部分で、「上唇」にノドチンコが見える
被写体があまりに小さいので、100均でスマホ用の接写レンズを買ってきて、なんとか撮影できた ♪
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/a5/b716a10d6c22345c7c3c5d0f8ea9d479.jpg)
着陸表示は顔のようだ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/21/e626f747caa383c8e7b77fe04a7b5db8.jpg)
花の奥に秘密の蜜が蓄えられている…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/39/80499ec46887d361c7c27f05dfde5610.jpg)
「春の七草」に含まれるホトケノザはキク科のコオニカタビラの事だそうで、こちらのホトケノザはシソ科で苦みがあって美味しくないそうだ 吸密専門