パソコンの前に置いてある小さな卓上カレンダーに「梅花清暁香」(ばいかせいぎょうにかんばし)と書かれている。
月ごとに文字は変わるが、臨済宗円覚寺派総本山円覚寺の横田南嶺管長の揮毫である。
字面から想像できる意味は、梅の花と言うものは一日の始まりの清らかな夜明けにこそ、かぐわしく香るものだ…辺りだろうと思う。
もう少し深い意味があるのかとググってみたが、探し方が悪いのか、これぞと言うものは見つからなかった。
ただ、似たような漢詩があるのを見つけた。
生方賢斉という人の「梅花」という詩だ。
欲見梅花面
衝寒立暁烟
一枝香乍動
残月影横邊
梅の花の真面目(しんめんぼく)を見ようとして
寒さをものともせずに 朝もやの中に立った
一枝の花が不意に匂い立ったのは
有明の月の光が横ざまに射しているあたり
何やら悟りを得ようとして苦しい修業を積んでいる最中、突如、思ってもみなかったときに天啓のように、一輪のウメの香りを嗅いだ途端、悟りを開いた…というような場面を想起させる。
まぁ、それは考え過ぎだとしても「梅の花が清らかに香るのは早暁の一瞬なのだ」という点だけでも、なんだか理解できるような気がするではないか。
ぼんやり過ごしていたのでは早暁の梅の花に出会えるはずはないし、まずは意思をもって人々がまだ寝静まっているうちから行動を起こす必要があるということを示唆しているのかもしれない。
話は代わって旧暦の話題。
年の初めの立春が過ぎたばかりだが、もう2つ目の候に移っていて、11日あたりの時期は「次候・黄鶯睍睆く(うぐいすなく)」になっている。
ということは、今か今かと聞き耳を立てている初音が届いてもいい頃なのだが、ボクの予想はまさに今週。
連休明けの13日火曜日から気温が上昇する予報が出ていて、19℃なんて日もあるらしいから、多分その辺りで…♪と期待を膨らませている。
言わずもがなの春告鳥だし、去年は2月22日だったから、暖冬の今年は早くて当然なのだ。
鶯の啼くや小さき口あいて 与謝蕪村
新林公園