最近、やたらとセイタカアワダチソウの黄色い花が目につくようになってきたように思う。
線路際の空き地、野原や畑の隅っこ、都会のど真ん中の空き地…
もう至る所と言っていいくらい、秋のこの時期になると名前の通り背の高い植物が茎の先に鮮やかな黄色の花穂をつけて風に揺れている。
東海道線で横浜方面に向かう車窓にはずっと黄色い帯が付いてくるくらいの繁茂ぶりと言ってよい。
振り返ると、今から30年くらい前に日本国中がどこに行っても黄色のに染まるような時期があった。
そのころボクは30代半ばの働き盛りで、肩をそびやかして仕事に打ち込んでいた時期だったが、秋になると決まって鼻水を垂らし、くしゃみを連発して目は赤くなるは、鼻のかみ過ぎで鼻の付け根は真っ赤になるは…で、まったく締まりのない状態に陥った。
そして何より閉口させられたのが、集中力が低下することで、仕事にも支障が出たほどである。
世間でも同様の人が大勢いて、隆盛のセイタカアワダチソウがもたらすアレルギー反応だと、一種の社会現象としてとらえられてもいた。
しかし、この説は後に主犯はセイタカアワダチソウでなく、ブタクサが原因だということが分かり、濡れ衣だったと判明するが、今でもセイタカアワダチソウの名前を聞くと当時の苦しかった頃を思い出して鼻がムズムズしてしまう。
そのセイタカアワダチソウはその後、数を減らし続け、隆盛から衰退へと辿ってゆき、ほとんど姿を見かけないようにさえなった。
これはセイタカアワダチソウが根や地下茎から他の植物の種子発芽や成長を妨げるアレロパシー物質と言うものを出して日本中を席巻してきたのだが、他の植物を蹴散らした後、今度は自分もそのアレロパシー物質の影響で成長を阻害されて、息の根さえ止まってしまったのだった。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰…
以来十数年、嫌もう少し長い期間かもしれないが年月が過ぎ、土中に残った有害物質もほとんど影響しなくなってきたのだろうか、今日再び隆盛に向かっているように思える。
もう鼻がムズムズすることもないからどうってことはないのだが、感慨深い思いで「復活劇」を見ているというわけである。
そして今、当時の悪名はすっかり消え、体中に溜まっている毒素や老廃物を身体の外へ排出させるデトックス効果を持つだとか、動脈硬化を防ぐポリフェノールを含んでいるとか、実はアメリカインディアンの大事な薬草だったとか…プラス面が大いに強調されているようでもある。
まぁ、隔世の感があるとはこのことだが、草刈りが面倒なことは昔も今も変わりないらしいし、あまりのさばらせないようにしてもらいたいと切に思う。
他の野の花が咲く様子も見たいじゃないか。
そして何より、大政翼賛会じゃあるまいし、世の中が一色になるなんて真っ平御免だ。
戸塚~横浜間の線路わき
線路際から一旦姿を消したのに…
下の線路は並走する横須賀線の線路
田んぼ脇のちょっとした空き地にもこの通り
繁殖は地下茎やタネからだそうだが、隣の田んぼは大丈夫なのかしらん
カキ畑の周囲にも…
里山のススキの中にも忍び込み始め…