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平方録

風雲急 あわや濡れねずみ

真っ青なキャンバスに背の高い堂々たるヒマワリが微笑み、白くて大きな入道雲が沸き上がる…
これぞ夏 ! これにブタの瀬戸物に入れてくゆらす蚊取り線香でもあれば、どこに出しても恥ずかしくないニッポンの夏 ‼ の景色だが、事はそう単純ではない。

家の窓から見た入道雲とは別の入道雲だが、これほどの入道雲を見るのは今年初めてで、眺めていたら矢も盾もたまらなくなって、よしっ ! 久しぶりに太陽を浴びに行こうと思い立つ

自転車で川沿いの道に出て一気に海まで下る途中でも行く手に入道雲が出迎えてくれる ♪

ヒマワリだけでは物足りないし、入道雲だけだって…
そう ! ヒマワリの黄色も入道雲の白も一緒の画面に納まってこそ夏の絵にふさわしい 青、白、黄、緑…は必須

片瀬東浜に出ると、入道雲は既に崩れ始めていて、水平線は最早、灰色…

東浜は江ノ島が防波堤の役割をしているので波はほとんど立たないから水遊びにはうってつけの海岸である


こちらは江ノ島に渡る橋と流れ込む境川を挟んだ反対側に広がる片瀬西浜


この海岸の夏の人出は日本でも有数だろう


海はベタなぎだが、山際の雲模様は如何にも怪しげ 


内陸側を見れば青空が広がっているのだが…

伊豆半島(奥の陸地)を望む南側に広がる雲にも油断ならない雰囲気が漂う


風雲急を告げるとはこのことか
スポットライトが当たったようにはるかかなたに見えている島影のような黒い影は真鶴半島 
奥に見えるはずの箱根連山は黒雲で覆われ、スポットライト以外の場所では黒いベールが海面まで垂れさがっている 
海辺に到着した時はもっと明るい灰色だったのだが、いつの間にか…
あのベールのように垂れさがっているところは激しい雨になっているに違いない

あの雨を降らしている黒雲が東に移動してくるのは時間の問題で、来たばかりで大して時間も経っていないのだが、家に戻る決断をする
ところが西浜を離れてわずか15分くらいで追いつかれてしまった
道路から飛沫が上がるくらいの激しい降りに見舞われ、運よく1階部分が空洞になっている釣具屋の広々とした駐車場に逃げ込んで事なきを得る
すると、次から次にずぶぬれになった人が雨宿りに駆け込んできて、一時難民キャンプ状態と化す
7、8人の自転車の男子中学生が次々と飛び込んできて「あちゃー、パンツまでびしょ濡れだぁ」と大はしゃぎして一層にぎやかになる
多くの雨宿りの連中は少し小降りになると待ちきれないのかすぐに雨の中を出て行ったが、ボクの自転車は新品だし、濡らしたくないので止むまでじっと待つ
忙しい身分ではないのだ 自由に使える時間なんてふんだんにある
と言っても雨宿りは25分くらいだったろう
久しぶりだね、こういう雨に遭ったのは 夏の急な雨にしばし雨宿りするっていうのも悪くはない ♪
こういう時、夕立ちだと再び射してきた太陽の光に照らされて虹がかかるんだろうが、昨日は肝心の太陽の光が射してこなかったので虹は見られなかった

…ったく、絵にかいたような束の間の晴れ間だった。


04:38 今朝はこんな朝焼けが現れ、黒々とした森からはヒグラシの大合唱が聞こえていた
今夏初めてのことだが、少し遅れてアブラゼミの鳴き声も混じり始め、ヒグラシとアブラゼミの混声セミ時雨になった ♪



昨夜はピカピカ、ゴロゴロ、雷がはしゃいでいた
例年なら梅雨明けの儀式の一つなのだろうが、今年に限ってはそんな期待は寄せるだけ無駄というもので、天気図を見たって一向に太平洋高気圧が強まる気配がない
今朝の朝焼けだって、どうせすぐに曇ってしまい、また雨でも降って来るんだろうさ

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