何とも脆弱なことで我ながら情けない気がするが、朝ごはんをかっ込んで自転車で家を出ると円覚寺までの道のりの3分の2が北向きの道路で、冷たい風をもろに浴びることになったのだ。
ちょっと坂を下って真北に向かう直線路に出た途端、胸元や首筋に当たる北風に思わず身震いさせられたが、冬が近づけば当たり前のことで、気にも留めなかったのだ。
わが家から円覚寺までは自転車で20分強。自転車を漕ぐ間は血流がいいから身体はポカポカしてくる。
風邪を引きそうだなんて思いもしなかった。
8時の開門と同時に坐禅会場の大方丈に行き、すぐに坐り始めるのだが、大方丈の障子は開け放たれたままで、風通しはすこぶる良い。
最初は暖まってポカポカしていた身体が冷めてくると、時々無遠慮に大方丈を通り過ぎる北風がやけに冷たい。
あまりの冷たさに胴震いしたほどだが、これは耐えるしかない。
これが寒中であれば、最初から外気を隔てる障子は締められたままなのだが、今回はまだ晩秋である。
横田南嶺管長がお出ましになって提唱を始めると、さすがに障子は全て閉められ、風が吹き込むことはなくなったが冷え切った身体はなかなか元には戻らない。
お陰でトイレは近くなるし、往生させられた。
まぁ、この辺りまではもう何年も通ってきているのだから想定内だし、第一寒中の氷点下での坐禅では下手をすれば寒さで歯の根が合わずカチカチ鳴り出すほどなのだ。
気温だってたかだか10度をわずかに下回ったくらいなのだから、そもそも大した寒さではないんである。
だが、家に帰って夕方になると喉の奥にじんわりした違和感を感じた。
とりあえずのどの痛みに効くという漢方薬主体の薬を飲んで寝たが、すぐに回復するわけでなし、月曜日には外出したついでにのど飴を買ってきて舐めていた。
火曜日は家の中で小春日のやさしい日差しにくるまれつつ音楽を聴き、本を読んで過ごし、日向ぼっこというのはこういうことを指すのだなと悦に入り、だいぶ良くなってきたなという感触を得た昨日の水曜日は一気に風をせん滅すべく、午後からベッドにもぐりこんで日ごろの「睡眠負債」の返却にこれ務めたのだった。
そして今朝…
喉に絡んでいたタンも出ない。喉の奥に残っていた違和感も感じない。ヨシッ!
風邪なんて寝てりゃ治るのさと思い続けてきたが、3日がかりで撃退した。
現役時代はなかなか寝てもいられず長引かせていたが、体力のある時期はそれでもいいが、ジジイの境涯に一歩足を踏み入れた身にはそうもいかない。第一、暖かくして寝ている時間があるのだから実践するに限る。
そうして時が来れば治るものなのだ。逆に言えば時が来なければ治らないし、特効薬があるとすれば、暖かくして寝ることなのである。
のどが痛くなって風邪の症状が出たのは何年ぶりだろうか。
北風を20分超正面から受けただけで風邪をひいてしまうとは、焼きが回ったものである。
この真っ赤な実…はちきれそうに輝いている=円覚寺黄梅院
サザンカ=円覚寺境内
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heihoroku
ひろ
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