昨日も起きてから寝るまで片時も離れることはなかった。
「怪盗グルーのミニオン大脱走」というアニメ映画を見たいというので、遊具の充実した公園でひと遊びして大汗をかいた後、こちらもリクエストのあったお気に入りのおしゃれなパンケーキ屋で昼食を取った後に映画館に向かった。
夏休みに公開される映画だけあって楽しい内容の映画で、姫は時々声を上げて笑っている。
他の席からも同様の笑い声が聞こえて来たかというとそうでもないので、姫は特別。笑い上戸気味のところがあるので、本領発揮なのだ。
昼ごはんの直後だというのにポップコーンのLサイズを抱えて休むことなく口に運びながらの映画鑑賞である。
さぞかし極楽極楽 ！ の気分を味わったことだろう。
ジイジが甘いことを心得ているんである。抜け目がないのだ。
シネコンに隣接するショッピングモールに大きな本屋があり、ここで小学生向けの国語辞書を選ぶ。
こういう時はジイジの出番で、中身を見比べたりしながら候補を絞り、最後は姫にどちらが良いかと選ばせる。
と言ったって、じっと大人しく待っているような子ではない。第一次選考の段階から口を挟んできて、これは少し字が見にくいとか一丁前の感想を漏らすが、それはそれで大事なことである。
結局３〜４０分かけて決まった１冊はボクもこれあたりかなと思っていたのと一致したので安堵した。
家に戻ると早速、使って見たいから何か聞いてと辞書を開く。
そこで「立秋」を引いてみてというと、たどたどしい手つきでページを手繰っていくが、慣れないらしく何度も「りつしゅう ？ 」と聞き返しながらようやく目指すところにたどり着くと、今度は解説を読んで「え〜っ、夏なのにもう秋になっちゃうのぉ〜 ! 」と素っ頓狂な声を張り上げる。
こうやって少しずつ知識を増やしていくのだ。
その後も「天の川」とか「台風」とか、台風の説明に出て来た「暴風雨」の意味を聞くと知らないというので、その意味も調べさせる。
夕飯の支度が整うまで、そんな調べ物をして過ごしたが、ページをめくりながら時々目的以外で知った言葉に出会うと「あ〜っ ！ 」と声を上げてボクに報告する。
そうなんだよ、電子辞書も便利だけどさ、画面に出てくるのは目的の言葉だけ。それに比べると紙の辞書は隣にもそのまた隣にも言葉がびっしり並んでいるから、いろんな言葉に気づくことができるんだよ。
そういうのも大切だからね。
もう少し大きくなると分かるよ。
ニュースもおんなじなんだ。ネットで調べたってそれしか出てこないけど、世の中には様々なことが起きているから、他の記事が混ざっている新聞を読んだほうが世の中を広く見て知ることができるんだよ。
最近はそんなことも忘れかけてしまっているから、騙されやすい人が増えてるんだよ。
ま、これは実際には口にしていないが、小学校の高学年か中学生くらいになったら教えてやろうと思う。
それより今日はもう立秋で、「え〜っ、もう秋 ！ 」っていう感想は姫と一緒である。
本格的な夏がやって来ないうちに……
姫の家から昇る太陽を見る。台風の影響はまだないようだ
