平方録

出なきゃ困るしなぁ…

2年前に前立腺を患ったことは事実なんだ。
で、治療が終わり普段通りの生活に戻る段になって懸念事項が一つあったのさ。
それは頻尿ってやつだ。
尿意を感じやすくなっておしっこの回数が増えるのさ。
だから去年の夏、青春18きっぷで鈍行列車を乗り継いで琵琶湖のほとりまで出かけ、田中一村の展覧会を見に行った時も、問題はトイレだったんだ。
幸いJRの中距離電車内にはトイレが付いているから何とかなったのだが、道中、駅のトイレも含めて何度かお世話になった。

まぁ、特に異常な現象ではなく、時間が経過すれば次第に収まると医者から言われ、ひどい場合は薬で押さえることもするんだそうだが、感じたらトイレに行きさえすれば済むことだからと薬には頼らないできた。
だから夜中は大変だった。
一時間おきくらいに目が覚めてさ。
でも今はそんなこともなく、行っても1度くらい。

問題だったのは円覚寺での厳冬期の坐禅で、歯の根も合わなくなるような寒さの中で坐っていると、これはもう何度も尿意を感じ、集中して坐るどころの話ではなかったのさ。
それでも、使い捨てカイロなどを下腹に貼って温めたりしていたので、1時間と少々は持ったのさ。
3~40分に一度くらいづつ短い休憩が入るから、必要ならその時に行けばよかった。
一度だけ、横田南嶺管長が話をしている最中に催してしまって、漏らすわけにいかないのでそぉ~っと席を立ったことがあるが、あの時は冷や汗ものだった。

そして昨日のことだ。
真冬に逆戻りしたかのような寒さと雨に閉じ込められて家の中でコタツのシミになるのも飽きていたので映画館に行ったんだ。
ブッシュ政権の副大統領・チェイニーを主人公にした映画さ。
すると、平日、しかも家を出てくるのも億劫だろうというくらいの天候の中、映画館はジイサンバアサンがぞろぞろぞろぞろ…。
人のことは言えない。ボクだってもうジジイに分類されるトシだからね。お仲間ってわけだ。
それにしても、腹を抱えて笑えるような映画でもないのに、酔狂なことだ。

随分と回りくどいけれど、ここからが今日の本題。
そう、映画が始まって10分ぐらいすると尿意が来ちゃったのさ。始まったばかりだって言うのにだよ。
席に着く前に行ったんだぜ、トイレ。それなのに…
意を決して席を立ったね。
で、戻ってきてこれで一安心と思いきや、またぞろやって来たのさ。たったの40~50分後だぜ。
映画だって見続けたいし、2度もいくバカいるか?
周囲のジジイとババアの連中に席を立つ奴なんていないのは当然だよ。見る前に行って、それで保つんだよ。最後まで。

あの映画館、空調が効きすぎてるんだ。寒いってわけじゃァないんだが、何となく足元とか首筋がスースーするんだ。
でもみんなも同じだ。
まさかなぁ、4月に映画館に行って映画見るのに、円覚寺の真冬の坐禅の時のように使い捨てカイロをべたべた貼っていくなんて考えもしないもんなぁ。
そんなこんなで、なんか情けなくなっちゃってね。
まだ30分ぐらい残ってたんだけど、もう席には戻らなかったのさ。

ジジイの春の憂鬱…
ちょっと前にも感じたことがあったけど、これはまた別。
人生いろいろあるもんだね。
こうやってだんだんトホホな状況にまみれていくのかな。
朽ちていくってのも大変だ。できる限りスマートに行きたいものな。


わが町には映画館がないので、隣町のシネコンへ

こいつシネコンにあらずネオコン。 …ん?
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