ずいぶんと暖かい朝である。
習慣だから、目覚めることは目覚めたのだが、頭がぼぉ~っとしていて回転速度は極端に鈍っていることが自分でも分かる。
昨晩はイングリッシュガーデンの会議の後、最近お定まりのコースになっている豚足屋に寄って焼酎をあおってきたのだ。
2時間ぐらい、豚の舌と尻尾で舌鼓を打ってきたわけだが、最寄りの駅の改札を出たら雨が降っている。
春雨じゃ、濡れてまいろう――は月形半平太だが、それにしては降りが強い。
わが家まで15分も歩くとパンツまでびしょ濡れになりそうである。
こういう時は、格好の一時避難所があるのだ。
とりあえずそこに駆け込んで雨がやむのを待つしかない、という結論は驚くほどの速さで出てくるからスーパーコンピューターも顔色なしに違いない。
ニンゲンサマの回路も捨てたもんではないのである。
その避難所には薩摩焼酎の一升瓶が預けてある。
豚の次は鶏である。
話は脱線するが、先週の土曜日に手作りしてカツラの木に架けた鳥の巣箱の入居者は未だ決まっていない。
それ以前に、物件を見に来た節も感じられないのである。品定めくらいしてくれてもよさそうなものだが、自然はニンゲンサマの思うようには都合よく動いてくれないものらしい。
ま、いずれもの好きも現れることだろう。
雨は好きである。特に春の雨は植物を成長させるし、雨が降る度に緑は濃くなり、蕾は膨らんで行くのだから、「好き」な度合いは二重丸である。
おまけに焼酎まで飲ませてくれるのだ。
春雨サマサマなんである。
昨日の豚足屋では嬉しいことがあった。
一緒に呑んだのは事業の責任者を務めている後輩だったのだが、顧問の任期が切れる6月以降について、「もう来ないつもりですか?」と聞くから、「いつまでもウロウロしていては迷惑だろう」と答えたところ、「もう少しご意見番をやってください」という。
これは思いがけない申し出である。
ちょっぴり、寂しいなと思っていたところだったから、「迷惑じゃないならよろこんで」と二つ返事で承諾してしまった。
バラの育種家として聞こえていた河合伸志を口説いてスーパーバイザーに就いてもらい、壊滅的だったあの事業を再生して賑わいを取り戻したという自負もあるのだ。
バトンそのものは2年前に渡してしまってある。
岡目八目ともいう。当事者では気付かないような事でも、ちょっと離れたところから見ていれば気付くこともあるだろう。
遠慮なく言わせてもらおう。
というわけで、「月さま、雨が…」と、傘を差しかけられた嬉しい宵だったのである。
イギリスに渡ったソメイヨシノが里帰りしてきた「アーコレード」が満開だった
こちらも珍しい緑色のサクラ。「須磨浦普賢象」という種類で、これほど大きく育ったものは外で見ることはできない=いずれも横浜イングリッシュガーデン
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