天気予報では少し寒さが緩むと言っていたので、その気になったのだ。
しかし、朝食を済ませると雲が出てきて陽が陰ってしまい、おまけに風も出てきた。
えっ、こんなはずじゃァないだろうに、と思っていると午前10時前辺りから西の方から青空が広がってきたので予定通り庭に出る。
せん定を予定していたつるバラは家の南側で育てているので、北風は避けられるのだが、西風となると微妙である。
モロには吹き付けないが時々束になってまとわりついてくる。
そういう中で時々震えながら作業を続けていると、あろうことか広がったはずの青空がいつの間にか雲で覆われてしまった。
寒い中でもどうにか作業ができるのは弱弱しくったって太陽の光があってこそなのに、その太陽が隠れてしまった。
だましだまし作業することで痛めた腰も小康を得ていたのだが、改めて寒風に体をさらすことになると保証の限りではない。
今度痛めたら起き上がることもままならないだろうし、トイレにだって行けなくなってしまうかもしれない。
作業そのものを中断するという選択肢もあるのだが、一時期の身体の芯から冷えるような寒さでないのも判断材料になった。
腰に使い捨てカイロを2枚貼り付けてはいたが、それだけでは心もとなくなってGパンの上から綿の入ったオーバーズボンをはいたのだ。
するとこれが、意外に正解で腰回りがポカポカと暖かく、西風も気にならなくなった。
ったくジジイになると、あれやこれや面倒なことであるが、それがジジイなのだと自らを納得させ、作業を続ける。
今回はニュードーンとサハラの2種。
ニュードーンは今の場所に植えてもう何年にもなるので、株は安定していて良くシュートを伸ばしている。
去年はよく花を咲かせてくれて、わが庭を盛り立ててくれた。今年も野球で言えば中軸のクリーンナップの一員として活躍してもらわなければいけない。
そういう期待を込めて枝を切ってゆく。
こうしてバラと向き合っていると不思議というか、現金と言うか、気分的にではあるけれど寒さを感じなくなるのである。
もう1本のサハラは黄色のバラで、これは一昨年に小さな苗を植えたばかりで、去年随分成長してくれたが、これからの活躍に期待がかかるのだ。
去年伸びたばかりの太いシュートがまぶしいくらいに育っているので楽しみである。
作業を続けていると、突如バラの向こうのガラス戸が開いて妻が顔を出し「お風呂をつけておいたわよ。終わったら入って暖まるといいわ」と思いがけないことを言う。
即座に「じゃァ一緒に入ろうゼ♪ 」と言ったら無視されたが、思いがけない展開で作業の手ははかどるのである。
2時間半ほどで作業を終えて浸った真昼間の湯舟は滋味豊かな温泉のごとく体をほぐし、腰に優しかったのである。
遅い昼飯はアゴで出汁をとったお雑煮で、小正月だから小豆粥だろなんて無粋なことは言わず、残り物のお餅の整理に一役買ったのだ。
アゴからいい味が出ていて、湯上りの体に染み入ったのである。
ニュードーンとサハラの精がババアに乗り移ってジジイを気遣ってくれたかのようではないか。
おじいさんとおばあさんはこうして、ささやかに喜びながら春を待つのでした。メデタシメデタシ。
5月が楽しみである。
アテにはならないけれど天気予報は今日「も」暖かいと言っているが、どうなんだろう。つるバラはあと2本だ。
昨日せん定を終わらせたニュードーンとサハラ
こちらは11日に済ませたローゼンドルフ シュパリース ホープ
隣家との境の石垣に咲いているブルーの花。名前は忘れたがこの花は毎年春に咲く花で、冬になると地上部分が枯れてしまうはずだが、どういう風の吹き回しか花まで咲かせているのに驚く
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