紅白のワインとミモレットをぶら下げて義弟が遊びに来た。
実は今年の正月に来る予定で、こちらもいささか値段の張る日本酒を用意して待っていたのだが、コロナの感染者が増えて来ていて、神経質な彼は「感染が収まってからにする」とドタキャンしていたのだ。
‶鬼のいぬ間〟も少し過ぎた感があり、東京などではまたぞろ感染者が増えつつあるが、「年内には約束を果たしておこう」と言うつもりだったのだろう、律義と言えば律義である。
久しぶりの事なので、北海道の松川カレイとブリ、長崎のクエ、横浜小柴のタチウオの刺身を用意し、良く冷やしておいた秋田の「雪の茅舎」の山廃仕込みを飲みながら「積もる話」に花を咲かせた。
8つ年下だが去年リタイアし、年金暮らしに入っている。
聞けば週に2回ジムに通ってトレーニングする傍ら駒沢公園の一周2kmのランニングコースを走っているという。
今のところ「2周しかできない」と言っていたが、走り方が半端ではないんだそうな。
「ジョギングだろう」と言うと、「そうじゃない、ランニングだ」という。
どう違うのかと聞くとジョギングよりスピードが速いそうで、ちんたら走るのではなく、次から次に人を追い抜いていく速度で走っているらしい。
当然息が切れるわけで、それゆえに心肺機能の強化にはもってこいで、お陰で今では血圧はもちろん中性脂肪やら何やらの数値はすべて正常値で「生まれてこの方最高と言っていいくらい体調がとてもいい」と、確かに現役時代と比べて血色の良い、肌にも張りがある顔を崩しながら言う。
ジムではトレーナーまでつけて個別指導を受けているそうで、ナルシストじゃないかと思うほど自分自身への投資をためらわないのだから、気合の入れ方が違っている。
続けていけば周回の数も増えて‶航続距離〟も伸びるだろうから、「いずれはフルマラソン」の期待も膨らみそうである。
自転車をちんたら漕いでパトロールだとほざいている我が身と比べたら心構えからして雲泥の差がありそうだが、まぁ、人さまざまだという気持ちで「へぇ~」「ほぉ~」と聞いていた。
あそこが痛いここが痒いとグチるような男よりよっぽどいいが、元気な義弟を持ったものだと思う♪
奴は文学部出身で、密かに書き溜めているものがあるらしい。
今回はその辺りの話題は掘り下げなかったが、いずれその気になったら1冊にまとめるくらいのことはするだろうから、その時、献呈本でも読ませてもらおうと思っている。
楽しみなことである。
黒点病にやられて青息吐息だった庭のバーガンディーアイスバーグが周回遅れで復活し2、3輪がほころび始めた