夕食にサンマの塩焼きを食べた。
既に10月も半ばを過ぎたが、今年の初サンマということになる。
徳島の友人から先月送られてきた特産のスダチが焼酎の炭酸割りとともに胃袋に消えていき、もう残りが最後の2、3個になったところで山の神が「せめて一度くらいはサンマに絞り掛けたい」と魚屋の店先を物色してきたのだ。
しかし、値段を聞いて目の球が飛び出しそうになった。
何と驚くなかれの1尾340円 ‼
かつては100円で2尾買えたこともあったあのサンマが…
見出し写真のサンマが載っている皿の長さが31.5cmあるから、サンマの大きさもそこそこではあるが、「丸々と太った」という形容詞はどう見たって使えない。
はっきり言って「痩せている」。
味はそこそこに脂がのってはいて、箸にも棒にもかからないような品物とはちょっと違っていたが、それでも、やはり「そこそこ感」しかなく、丸々と太った旬のサンマの味を知っている舌には何となく物足りない感じがしてならない。
だが、現状はこの程度を持って「了」とするしかなくなってしまったようだ。
しかもこの値段。
獲れたてのサンマには漁師が勧める一押しの食べ方がある。
3枚に降ろした皮付きの身の皮側を下にしてフライパンでサッと炙り、直ぐに氷を入れた冷水に入れて冷やす。水気を取り除いて皿に行儀よく並べた上から大葉、茗荷、ショウガ、小ネギなどのみじん切りとニンニクをスライスして軽くあぶったものをサンマが隠れるくらいに乗せ、酒、みりん、醤油などを合わせたタレを作って振りかけるのだ。
漁師が船上で漁の合間にワシワシと食べてエネルギーを補給するために、これさえあればご飯が何倍でも食べられる。それくらい美味しい。
塩焼きは一人1尾もあれば沢山だが、この食べ方だと一人で最低3尾は無ければ物足りないくらいで、それくらいに美味しい。
これで飲む日本酒の冷とか、焼酎の炭酸割はまた格別で、正直言って飲み過ぎが心配になるくらい酒の肴としても絶品である。
しかし、1尾340円もするんじゃ3尾4尾と心置きなく食べるにはちょっと…と言うことになってしまうのが残念でならない。
去年に続いて今年もこの方法で食べることが出来ずに、頭の中だけに思い浮かべてヨダレを流すしかないのが切ない。
初サンマだが今年の見納めのサンマということになりそうである。