久しぶりに化粧坂を下って海蔵寺に行ってみる。
化粧坂は「けわいざか」と読み、南を海、その他東西北方向を屏風のような山に囲まれた天然の要害の地・鎌倉に出入りするために、鎌倉幕府が設けた「七口」(ななくち)と呼ばれる狭くて険しい通路の一つである。
七口の中でもこの化粧坂は険しく傾斜もきつい。
これだと大群は攻め込むことが不可能で、幕府は安心していられる代わりに、馬一頭がやっと通れるだけの幅しかなく、しかも急峻な坂が続くとあっては、日常物資の搬入路としては用をなさなかったに違いない。
そんな地に開かれた鎌倉幕府が150年余りもよく続いたものだと感心するが、頼朝がきらびやかな都を避けてこの地を選んだことは、これまでとは違った武家政権という政治体制を確立するうえで欠かせない舞台装置だったことがしのばれるというものだ。
坂の途中から目に入る周囲の山々の木々には野生のフジが絡みついて、淡いフジ色の花房を垂れているのがいくつも見えた。
このフジの花が終わるとホトトギスがやって来て、周囲の山を切り裂くようなけたたましい声で鳴き始める。
卯の花がポツリポツリと開きつつあり、夏はもう目の前まで来ている♪
今朝4時に起きてベランダに出てみると、雨は止んでいて東に少し寄った南の低い空に三日月よりやや太った月が浮かび、その左手南東の地平線近くにひときわ明るく輝く金星とその更に左側にこれまたよく光る木星が輝いていた。
残念ながら見落としてしまったが、金星と月の間には土星も出ていたようだから、奇しくも月と木、金、土が一直線に並ぶ珍しい光景が現れていたということのようである。
今朝の早起きは‶二文〟くらいの徳になったと思う♪
葛原ヶ岡から見る化粧坂の入り口 いきなり転げ落ちるような坂になっている
坂というより崖?
馬どころか、人一人がすれ違うことも無理なくらいの幅しかない
下から見上げるとまるで目の前に壁がそそり立っている感じ
この辺りは人の手が入っていると思われる
雨上がりのせいか所々水が流れたりしていたが、足元は砂岩なのでグチャグチャにぬかるむような箇所はなかった
あちこちに野生のフジの花が…
ようやく住宅街の道路に出る
鎌倉駅から徒歩20分くらいのところにある海蔵寺
元々は真言宗の寺だったそうだが、現在は臨済宗建長寺派の禅寺で花の寺としても知られている
この地が扇ガ谷だからか、屋根には扇の紋が掲げられている
本堂裏には禅宗風の庭園が広がる
ツツジに囲まれて建つ石仏 満開の頃に見てみたい
観光客が少ないので邪魔されにくいためか、ここの境内で「写婚」を撮る光景をしばしば目にする
崖下に穿たれた「十六井戸」
16の井戸が行儀よく並んでいる内部
清冽な湧水が湛えられている
寺の右手に伸びている道の奥には「知の巨人」とも称えられる虫好き・ネコ好きで知られるご仁が暮らしている