耳に届く鳥たちのさえずり、わが家の庭やベランダに漂う花の香――といったものひとつとっても同様で、これまで周囲にあったものとは全く違ってきている。
埋めておいたチューリップなどの球根も随分と顔を出してきていて、それらに交じって伸びてきている雑草などを観察しようと、しゃがみこんで地面に顔を近づけていると背後に何やら動くものの気配を感じた。
ゆっくりゆっくり上体を起こして周囲を伺うと、ボクから1メートルも離れていないアジサイの枝に見慣れない灰色と黄色の混じったような薄緑色の小鳥が止まっている。
鳥の目とボクの目が合ったような気がして、その刹那、小鳥はそこから飛び立ったのだが、遠くに飛び去ってしまったわけではなく、わずか1メートルほど横にずれただけである。
この段階まではボクは上体を起こしただけで、ほとんどオブジェのようにじっとしていたから小鳥としてもそれほど警戒していなかったに違いない。
その間両足は窮屈に折り曲げていたので悲鳴を上げ、どうにもならなくなって動かした途端、小鳥はあっという間に飛び去ってしまったが、あの鳥は初めて見る鳥である。
身近にいて見ればわかる鳥といえばシジュウカラ、メジロ、スズメ、ジョウビタキのオス、カワセミ、ムクドリ、ヒヨドリ、ガビチョウ、ハクセキレイ、カラス、キジバト、コジュケイ、コサギ、シラサギくらい。カモはくくりでは分かったとしても種別までは分からない。
ウグイスやモズ、ホトトギスの声は知っているが、鳴かない姿を見ても分からないと思う。そんな程度の知識しかないのだ。
インターネットで鳥の名前を入力して画像を見比べてみたが、シジュウカラのメスだとしても、もう北へ帰ったころじゃないか…。だとすると、ウグイスのメスかなどと想像をめぐらすが、どだい知識が不足しているのだからあてにはならない。
ボクの周囲には〝鳥博士〟のような存在はいないから、知識の得ようもないんである。
後は鳥に直接聞くしかないが、じっとしていてくれないからなぁ…。
昨日、ふと見上げたカツラの木の巣箱にシジュウカラが入り込むのを目撃した。
出たり入ったりしていたようだが、その後住みついたのかどうか確かめていない。
屋根に当たる上蓋の端っこがめくれあがってしまっているし、巣箱としてどうなんだろう。役に立つんだろうか。
住みつくようであれば放っておくが、適さないのであれば修理は簡単である。様子を確かめなくては。この辺りは大家の責任である。
春の足音は頭上だけに限らない。パンジーの株の間にまだ小さなカナヘビの姿を発見した。
青色と銀色と黒色をまとった金属的な印象のカナヘビである。配色的にはオシャレでもある。
このほか我が家に薄茶色のカナヘビもいて、どちらも多分、草花につくにっくきアブラムシなどの害虫を食べてくれているのである。
今春も大いに活躍を期待しようじゃないの。
なにせバラに取りつくアブラムシには辟易していて、でも農薬は使うまいと決めているからカナヘビは頼りにしている。バラの先端までは登ってきてくれないが、地表近くを退治しまくってくれればそれで十分である。
上の方は一部の鳥とテントウムシに手伝ってもらい、あとはガムテープを持ったボクがペタペタくっつけて退治すればいいのである。分業ですナ。
カナヘビは強力な友軍でもあるのだ。同志よ!
かくして、わが家の庭もだいぶにぎわいを増してきているのだ。
アネモネとワスレナグサ。こういう密集ではアブラムシが発生するが、カナヘビがせっせと食べてくれているはずである
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