北鎌倉の浄智寺は円覚寺から歩いて6、7分のところにある鎌倉五山の第四位にして臨済宗円覚寺派の禅寺である。
自然な風景の中に茅葺屋根の書院や宋風の鐘楼門などが溶け込んだ境内はひなびた雰囲気が漂っていて、鎌倉で好きな寺の3本の指に入る。
寺の脇を登っていくと葛原ヶ岡に出られ、化粧坂や大仏へと続くハイキングコースにもなっているから、寺に寄らない人の通りも少なくない。
自然をたっぷり味わいながら鎌倉散策を楽しみたい人たちに人気がある。
円覚寺で坐禅会が開かれていたころは、気が向くとこの寺に寄り、ハイキングコースを抜けて家まで帰ったものだが、このところずっと足が遠のいてしまっていた。
花の寺でもあり、深まりゆく秋の庭が恋しくなった。
横須賀線の踏切にほど近く、県道を外れてわき道に入ると目の前に一気に深山幽谷を思い起こさせるような景色が飛び込んでくる
円覚寺を開いた無学祖元の筆とされる「寶所在近」の文字が掲げられた山門をくぐり抜けるとリズム感あふれる石段の先に鐘楼門が見える
拝観料を払ってすぐ右手に書院や寺務所の建物が並ぶ
鐘楼門と本堂の曇華殿
茅葺屋根が美しい書院の庭はシュウメイギクに彩られていた
何年か前にコスモスが揺れていたことがあった
ここの住職の朝比奈恵温さんは本山の円覚寺で円覚寺派の教学部長もしていて坐禅会の指導もしてくれていたが、子どもの頃はキリスト教会の聖歌隊にいたとか、学生時代はロックバンドのグループに入ってエレキギターを弾いていたとか、住職になってからは寺で手作りのカレーパーティーを開いたり…、とにかく様々な挑戦を続けている愉快な人なので、庭の花も固定しないで気の向くままに咲かせているのかもしれない
こう見ると山寺の雰囲気そのもの…
書院の右手に本堂があるがとにかく目立つのが書院だ
書院の庭の何かユリ科の植物のタネだろう
竹藪の奥に井戸と石仏が見える
布袋尊に続く素掘りのトンネル手前の観音仏
鎌倉七福神の一つ布袋尊
布袋尊の置かれている場所から書院方向を見る
シュウメイギクとヤマハギ?
渋柿らしい 右上の熟したものだけが鳥に食われている
拝観料を払う場所の脇に軽ワゴンが停まっていて「野生のコーヒー」という看板を出していた
聞けばコーヒー豆の原産地として知られるエチオピアの山野に自生している「まさに野生」のコーヒーなのだという
天気も良かったし、のども乾いていたし、話のタネにと1杯600円ナリのドリップしたものを頼んでみた
結論から言うと、コーヒー党でも何でもないけどボクの口には合ったようで、深いコクと味わいを感じたから美味しかったと言っていいと思う
最初、野生ということだったので何らかの雑味のようなものがあるのかも…とも思ったのだが、そういうものは感じなかった
拝観料を取っていた受付の老婦人もやって来て注文して行った 受付の目と鼻の先で優雅にコーヒーを飲んでいる姿を見て、あるいは匂いが届いたりして飲みたくなったのかもしれない
それと、確かにコーヒーが飲みたくなる時間って言うのもあるしね
軽ワゴンのお姉さんもチャーミングな目をしていた ♪