海を渡って島内に通じる弁天橋際の川を挟んで対岸にある片瀬漁港の堤防と並行して造られたボードウオークに寄り道してみたのだ。
実はボードウオークの手前のところで門扉が閉ざされていたのだが、無視したのだ。
門扉には高波注意と書かれていて、しかしボクが訪れた時は既に海は穏やかさを取り戻していて、いつも通りの波のない湖面のようなまっ平な海になっていたのだ。
だから、訪れる人は門扉の脇をすり抜けて堤防内に入って行っていたし、実際、管理者はさっさと門を開くべきなんである。、
孫を連れていたら多分引き返していただろう。しかも木曜日の午後のことで付近に子供の姿はなかったし、教育的配慮の必要を特に認めなかったためでもある。
ここらあたりはなかなか微妙なのだ。
ゆえに管理者には細やかな対応を求めたいのだが、所詮はこちらの理屈である。
ボードウオークの先に進んでいくと「漁港内釣り禁止」の看板の脇で数人の中学生が釣り糸を垂れていたから、掲示された注意書きに大人しく従う年齢というのはいくつくらいまでなのだろうと考えてみるし、あいつら学校は休みだろうかと思ったりもするが、ま、釣りの授業だったのだろう(そんなわけないか)と思い直す。
先端までたどり着いた辺りで暖かい日差しを降り注いでいた太陽が雲に遮られてしまい、一気に寒々としてくると海の上の居心地というものは格段に悪くなるものである。
戻ろうとして、ここまで歩いてくる間に感じていた違和感が急に膨らんでいき、アッと軽く声が漏れそうになるくらの異変に気付く。
海に落ちないように設置された金属製のフェンスが数か所でよじれ、傾き、柱と柱の間に張られている金網が枠ごと跡形もなく消えてしまっていて、一部のボードウオークの板はめくれあがってしまっている!
海の上を歩くときはいつものことなのだが、視線ははるかかなた、遠くを見つめているのだ。
足元はほとんど見ないと言ってよい。
目には入っていても、焦点まで合わせていないのだ。
それが、さぁ帰ろうと思ったとたんに焦点距離が近くなり、周囲の像がきちんと結ぶようになるのだ。
フェンスや板の被害は人間の仕業ではない。
金属製の策をへし曲げ、土台にボルトで堅く止めてあるボルトそのものを引き抜きぬくなんてことは、とても人間業では出来ない荒業である。
金網のフェンスだって、波の抵抗はそれほど大きくないだろうに、それがひしゃげてしまったり跡形もなく消えてしまっているというのはどういうことなのだ。
あの東日本大震災での津波襲来の映像が目に浮かぶ。
波の力の威力のすさまじさをまざまざと見せつけられた思いである。
東京五輪のヨット会場になる江ノ島のヨットハーバーが高波に襲われて大きな被害が生じたのは先月23日未明に静岡県御前崎付近に上陸して列島を縦断していった台風21号のせいであった。
こちらのオードウオーク被害も同様台風21号によるものだろう。
もしかして、ボードウオークのフェンスはその時以来閉まっているのだろうか。
だとすれば、そういう一言を付け加えた注意書きを添えておけばボクは入らなかっただろうし、入ったとしても海に落ちる時は覚悟の上だ。釣りの授業だって別の場所に移ったことだろう。
やることが遅いぜ。仕事がのろい!
穏やかな海を前に閉じられた門扉。湘南海岸片瀬漁港のボードウオーク
フェンスは傾き金網は不自然にひしゃげる
金網の一部は跡形もなく消え
土台に固定されたボルトは引きちぎられ、金属製の柵は捻じ曲がる
ボードウオークも一部が持ち上げられてしまった
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