平方録

ボクの足元は一気に新しくなった

朝ごはんを食べ終えたころに玄関のピンポンが鳴って宅急便でスニーカーが届いた。

前の日の午前中にインターネットで注文しておいたのだが、随分早い到着である。
宅配便を初めて導入して成長を続けてきた大手業者が荷物の飛躍的な増大に体制が追い付かず、従業員の犠牲の上でかろうじて維持してきたが、それも限界に近づいて大幅な見直しが行われることになった。
それを理解する身としては、何も翌朝に荷物が届かなくっても一向に差し支えないんですよ、24時間後でも48時間後でもいいんですよ、と改めて言いたいのだが、それにしても早い。

スーツにネクタイを締めていたころに履いていた革の短靴は靴箱にしまわれたままである。
短パンかGパンばかりで過ごしているのだから必要ないわけで、代わりに夏は素足にサンダル、それ以外はスニーカーがあれば済むんである。
足元が軽いと何かにつけ好都合なのだ。
そのスニーカーのうちの一足がお気に入りで、毎日のように履き続けていたものだから、2年で底が減ってしまった。

隣町に直営店があるが、どこの靴屋でも売っているという製品ではなく、気に入ったデザインと機能を持ったものが欲しい時はネットで直接注文するのが手っ取り早いのだ。
注文したのはオニツカタイガーの「MEXICO66」という製品で、色は明るいアシックスブルーに黒とベージュの線の入ったスニーカーである。
これまで履いていたのはベージュにグリーンの線が入ったやつで、色違いだから履き心地などは同じである。
実はこれも革靴なのだが靴底はゴムで、上側には天然皮革を使ってはいるが機能もデザインもスニーカーである。

1966年のメキシコオリンピックの選手用に開発された製品だそうで、日本のサッカーが初めて銅メダルを獲得した時の選手たちも履いていたんである。
靴底が薄いのも特徴で、それでいてクッション性能を保っているから長い間歩き続けてもくたびれることがないのが気に入っている理由の一つである。
ボクは歩くのが好きなものだから、靴には気を遣う。
軽くて履き心地が良くて疲れない、というのは最低条件の一つなのだ。
デザインと色も大事な要素ではある。

朝食後に届いたということは「さぁ、すぐにこいつを履いてどこかに軽やかに出かけてください」と言われているような気がして、「ハイ、ではお言葉に甘えて」という感じで、外出した。
頭というやつは勝手なことを考えるもので、どこに行ったかというとバスと電車を乗り継いで隣町の大きなショッピングモールである。
スニーカーを見せびらかそうと思ったことと、20年近く履いた革製のサンダルの底がはがれてしまってついに新調を決断したからである。

これまでにもいろいろ捜し歩いたのだが、ちょっとおしゃれを気取っているボクには気に入ったものが見つからないでいたのだ。
おろしたてのスニーカーが誘い水になったのか、最初に入った店でピンとくるものがあり、それでもまだ他を探してみたが、結局ピンときたものを買って帰ったんである。
ということで、ボクの足元を担う主役が一気にそろうことになったのは、どういう風の吹き回しなんだろう。
生まれて初めての体験をした、ともいえるのである。

それにしても夏用のサンダルとは最低でも18年は付き合ったはずである。実によく履いたものである。
平気で海水にさらしたりもしていたから、茶色だった革は薄く脱色してしまったが、それも風合いというものだったのだが、そろそろ潮時だったんである。

かくして2つの相棒を一挙に手に入れたボクは1日も早い梅雨明けを待ち望んでいるんである。







オニツカタイガー MEXICO66


KEENの黒い細身のサンダル
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