我が家の庭の中央で繁っている株立ちのカツラに一重でピンク色の可愛らしい花を咲かせるつるバラが絡みだしてもう2、3年になる。
気が付いた時は細くて頼りなさげなシュートをたった1本、ヒョロヒョロと伸ばしていて、木にも登れず、根方に横たわっているだけだった。
つるバラのようだけど、どんな花を咲かせるのかさえ皆目見当がつかず、どこかに植え直そうにもカツラの根方からカツラの表皮に食い込むように伸びているので、それも出来なかった。
仕方なく「君はカツラの木に頼って生きたまえ。それが望みだろう」と木登りを許したのだった。
まぁ、駆け落ちをちらつかせる娘の熱意にほだされて、仕方なく結婚を許す親の心境とはかくの如くかと思ったりしたものだ。
親が許したものだから安心したのか、生活ぶりは安定し、夫婦仲?も良好で、子宝にも恵まれ…
寝物語はこのくらいにして、話を現実に戻しましょう。
このつるバラに木登りを許した段階で、差し当たって肥料をどうするという問題に突き当たった。
根方はカツラ自身の根っこが密集して生えていて、シャベルの刃が立たないくらいにカチンカチンに固まっている。
無理して掘ろうとすればカツラの根だけではなく、バラそのものの根を傷めかねない。
しかたなく、肥料が流れ出さないように石などで囲いを作りながら、ただ肥料を置くだけで何とかならないか考えたのだった。
これがうまく行ったと見えて今年はやけに旺盛な成長ぶりで、1本とてつもなく元気なシュートがぐんぐん伸びてもう2mを超え、さらなる成長をうかがっているような元気さである。
ジャックと豆の木のつるは天まで届くことになるのだが、あれは豆の話でバラでは聞いたことがない。
まさかわが家のつるバラも天まで届くんじゃあるまいな…そういう期待が膨らむほどの勢いなのだ。
今、ようやく花が咲き出し、まさかカツラの木になったつもりでいるわけじゃないだろうが、梢の間からきれいなピンク色をした一重の清楚な花を咲かせて悦に入っているように見える。
ここまで、肥料こそやったが、せん定は一度もしていないので伸び放題、勝手し放題の野放図にさせているため、花付きもバラバラだが、これを他のつるバラ同様きちんとせん定すれば花もまとまって咲くに違いない。
そうなれば一層、つるバラらしくなり、見応えも出てくるだろう。来年以降が楽しみである♪
ところで、キミは一体誰なんだ? 誰の縁者で、どこから来たのか、という疑問が付きまとう。
花は小輪で色や花の形などを見ると門柱に絡ませている「バレリーナ」という品種のつるバラにとても良く似ている。
秋から冬にかけてローズヒップを楽しむため、花柄を全部摘むのではなく、一部を残したことがあり、それを食べた鳥がカツラの木の上で用足しをした中にタネが混じっていたんじゃないか…
それが発芽して…
いずれにしても,大自然がボクの庭にプレゼントしてくれたことは間違いない。
今、その成長ぶりが確かなものになるのを見るにつけ、こういうことって何だかとても楽しいものだなぁ…とつくづく思うのである。
カツラの木に登って得意気に咲いている
自分がバラとは思っていなくて、きっとカツラだと思っているに違いない
すっかりなり切っている
それにしても自然界とは粋で洒落たことをする
木登りローズってのもなかなかいいものだ
他にも雑木が何本かあるから木登りローズを増やしたい
東側のフェンスに絡めたつるバラ(親戚の人が作出したつるバラで名前がない)
このつるバラに似ているなとも思ったが、色が濃いし…
そもそも一重ではなく八重で咲くので違うだろう
ひょっとしたら…こちらが「バレリーナ」
違いを探せばキリがないが、似ていると言えば似ている
こちらがカツラになり切った木登りローズ 一重でしっかりと咲いている