ここ3、4年姿を見せないでいる句友の件だった。
時に繊細でユニークな視線の句を作る男だったが「若年性認知症」と診断され、仕事も辞めてしまったそうである。
夫の病状を心配した細君があれこれ考え、句づくりや吟行による刺激が必要と考えたらしい。
ただ行き帰りの道中が不安で、1人だと時々とんでもないところまで行ってしまうらしい。そのため、行き帰りは細君が付き添うので迷惑はかけないようにするから、復帰させてほしいと頼まれたそうである。
何事かと思って出掛けたのだが、何だそんなことかという思いである。
普通に会話ができ、時たま物忘れをするというだけなのだから、何もはばかることはないだろう。また参加することに何の妨げもない。第一、休んではいるが除名した覚えもないし、メンバーなのだから遠慮することはない、という結論に達した。
途中から会の長老にも加わってもらったが、同じ考えだった。
細君にしてみれば、進行性の病気の進行を少しでも遅くしたいという切実な願いから発した要請である。
明日は我が身なのだ。こんなことでも希望が見いだせるなら、復帰は大歓迎である。
それにしても、わが古い知人の中にも同じ病気を患っている者がいて、勤めていた週刊誌に闘病記を書いていたのを読んだが、病状の進行を食い止めるために体操やらなにやら様々な取り組みをしているようである。
NHKでも若年性認知症を取り上げた番組をやっていた記憶があり、同じ症状の人が結構たくさんいて悩んでいるらしい。
考えて見れば記憶装置の不具合というのは、厄介に違いない。
極端なことを言えば、自分が誰なのかも分からなくなるということだろうから、当事者にしてみれば不安は大きいはずである。
私事だが、毎年頭の内部を診てもらっているのだが、つい最近受けた脳の断層撮影の結果を聞きに行った帰りの相談事で、わが脳は幸いなことに梗塞の後も皆無な上、脳そのものの委縮も年相応だそうで、まずは一安心というタイミングだったから、わが身の健康を感謝しつつ、身につまされるところも少なくなかったのである。
メンバーにこういう仲間がいるというのも何かの縁だし、世の縮図そのものなのだ。
他のメンバーに復帰に難色を示す者はいないだろう。
それにしても、飲みながら話そうということになり、午後の1時過ぎから夕方の7時過ぎまで3軒もはしごして飲み続けてしまった。
いささか度を過ごした感は否めないが、たまにはいいのだ。締めに食べた根岸駅前のタンメンは美味しかったなぁ。
それにしても飲み過ぎで、頭がぼーっとしている。2度寝が必要なようだ。
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