平方録

とんから飴だってさ

飛騨から美濃の中津川にある熊谷守一つけち記念館に向かう途中の道の駅に「とんから飴」という、素朴な包装の飴玉の袋を見つけた。

あまり目立たないような場所の棚にひっそりと置かれていたが、手に取って見るとラベルには「飛騨・美濃伝統野菜認定」「『あじめコショウ』唐辛子入り」「刺激に弱い方はご注意ください」「好辛倶楽部謹製」などと書かれている。
飴玉に唐辛子を入れちゃったの… 一体どんな味なのか。当然興味の湧くところである。
辛さに対しては特段の自信を持っているわけではないが、ほどほどの辛さは望むところで、カレーなどを食べる際に辛さの等級があれば、出来るだけレベルの高い等級を選んで食べるのが常だから、当然、触手は伸びて当然というものである。

インターネットで調べて見ると、ラベルに書かれていた「好辛倶楽部」の会長さんの文章が見つかった。
それによると中津川市下野地区でかなり古くから栽培されていた唐辛子で、付近を流れる付知川に生息する「あじめどじょう」と呼ばれるドジョウに姿かたちが似ていることから名付けられたんだという。
元々は辛さを必要とする料理に少し混ぜ入れたりしていたそうだが、米櫃の中に入れてコクゾウムシ予防にしたり、下駄箱の中に入れて防かび剤として使ったりもしていたんだそうな。
そういう伝統野菜でほとんど知られてはいなかったようだが、いたずら半分に仲間で集まって開くバーベキューの会などに普通の野菜に混ぜて持ち込んでみたところ、口にした人が驚いて水場に走っていく様が面白く、さらに遊び半分に続けていたところ若者たちの間で人気が高まり、話題になって行ったのだという。
そこで特産の唐辛子を使ったオリジナルな食品を開発して商品化しようという話が持ち上がり、好辛倶楽部を結成していくつかの商品を世に送り出してきたそうである。

新たな唐辛子文化を発信しよう、という試みである。
その意気や良し。「脇役から主役へ」。
インターネットの記述によると「アジメコショウの辛さは普通の唐辛子の3~5倍あるが、ただ辛いだけでなく独特の風味があり、さっぱりしているため辛い物が好きな人には最適です」と、少々我田引水、身びいき先行の感無きにしもあらずだが、まぁ、地域起こしも身びいきも、この程度なら許容範囲だろう。
これまで作りだしてきたものが「赤鬼うどん」「青鬼うどん」「とんからしらすみそ」「あじめカレーレトルト」「ぴり辛豆腐」「ぴり辛こんにゃく」「ぴり辛かりんとう」などなど。そのうちの一つが「とんから飴」というわけである。

さて、肝心の味はどうか。
辛いって言ったって、たかが飴玉だろうと思って買ってみたんである。
飴玉の一粒一粒が小ぶりだなぁとは思っていた。なんだ、ケチくさいじゃないか、とも…
理由はすぐに分かった。普通に売られている甘い飴玉の大きさにすると、最後までなめきる前に舌が悲鳴を上げて、とても持たないからである。

そういう飴玉だから谷底の曲がりくねった道をひたすら車を運転しながら、眠気が差した時に2個目を口に入れて眠気を吹き飛ばしたんである。
その効用は確かである。全国の高速道路のサービスエリアに置いたらどうか。運転のお供に、絶対に眠気が吹き飛ぶこと請け合いである。
でも、このブログを書きつつ、2個もなめてしまった。辛さという味覚には慣れもあるらしい。マヒというべきか。



好辛倶楽部謹製の「とんから飴」
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