花はナス科の植物のものとウリ二つだし、茎の途中から出て房状についている実は青いものの極小のトマトのようでもあり、何となく期待を抱かせる雰囲気は十分である。
初めてお目にかかった植物で、どうしてわが家のプランターに根付いたのか皆目見当もつかないが、実を食べた鳥辺りの仕業かもしれない。
生っている実は今でこそ青いままだが、いずれは熟すと色づくに違いない。
色づけば口にすることも可能だろうか、などと考えながらスマホで写真を撮りパソコンの前に坐って調べ始めて、思わずため息が漏れた。
「イヌホオズキ」という植物で、やはり見かけ通りナス科ナス属の植物だそうだ。
しかし別名「バカナス」というんだそうで、ホオズキやナスに似ているものの役に立たないことから名づけられたらしい。
実は熟すと黒色になるんだそうだが光沢はないそうで、魅力という点では見劣りしそうである。
見劣りしたって口にしておいしければそれなりに役立つのだが、全草にソラニンを含むため食用は不可だそうだ。
ソラニンとはステロイドアルカロイドの1種で神経に作用する毒性を持ち、大量に摂取した場合には昏睡状態に陥り、死に至ることもあるという。
確かにバカナスの異名通りではないか。
わが家には鳥が運んできたんだろうと根拠のないことを書いたが、鳥だって食べないかもしれないから、どうやってわが家にやってきたのか謎が深くなった。
役に立たないと分かると人間は残酷である。水に落ちた犬に石を投げるのなんて朝メシ前なのだ。
バカナスに加えて付けた花言葉は「嘘つき」。
期待した分、裏切られた衝撃の大きさを物語っていると言うことだろうか。
ひどい仕打ちという意味では「ヘクソカズラ」も初めて聞いた時には、よりによって…と思ったものだ。
そりゃぁ、確かに悪臭も悪臭、大悪臭の持ち主で、葉や茎をちぎったり触っただけで悪臭が指にこびりついたりするから閉口するのだが、いくら何でも屁と糞とごちゃまぜはひどすぎないかと思うのだ。
よく見れば白地に真ん中が赤く染まった、あのちっちゃな花だってバラやボタンのような豪華さを湛えた美しさとは一線を画すけれども、あの花にはあの花が持つ可憐さというものがあるのだ。
ことわざには「屁糞葛も花盛り」というのがあるそうで、不器量な娘でも年頃になればそれなりの魅力があるという意味だそうだが、まさにことわざ通りなんである。
「鬼も十八番茶も出花」も同じ意味である。
こうなってくると、世の中は様々で醜女を珍重したり、妻にしたりする奇特な人も出てきて「蓼食う虫も好き好き」となる。
しかし実際のところは外観で判断できるところなんぞは極一部で、そこで判断できるものと言えば取るに足らないものばかりなんである。
だから奇特でもなんでもなくて、他の人より観察眼が鋭くて感受性も豊かなだけなのだ。
それにつけてもひどい名前を付けたものだが、その一方でしもやけやひび、あかぎれに効く外用民間薬として生の実をつぶした汁が用いられたり、全草を煎じたものをが腎臓病や脚気、下痢、黄疸に効果があるとされてもいるんだそうな。
美肌化粧料として肌に潤いを与える効果もあるあるという。ヘクソカズラの実から作るんだぜ! 美人も大変だね。
花言葉は「人嫌い」。何となく分かりますな。あんなにぼろくそに言われちゃうんだからね。
だから「誤解を解きたい」とか「意外性のある」という花言葉もあるそうだけれど、これはどうも後付け臭いねぇ。匂うなぁ。
花はナスにそっくり。実の形はナスとは違うけれど…。花言葉は「人嫌い」
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