わが家の春花壇用チューリップ球根調達責任者である山の神が、今年は少しおかしいわよとボヤいていた。
聞けば毎年買っているホームセンターには普段なら大量に山盛りされているはずのチューリップの球根が見当たらず、だだっ広い売り歩のホンの片隅に申し訳程度に転がっているだけで、もちろん種類は限られ、仕方なくあちこちの店を探しまわったのだそうな。
結局、最小限の50球ほどを何とかかき集めて来たそうだが、ごくありふれた品種のくせに4000円もしたという値段を聞いてびっくりさせられた。
1球あたり80円もする計算である。
もちろん、珍しい色とか形のものを何球か種苗会社から直接購入してもいるが、その場合の単価が高いのは当たり前にしても、ありふれた球根が80円もするとはちょっと記憶にない。
チューリップの産地は富山県などが知られているが、国産の球根の値段は押しなべて高めで、むしろ本場のオランダなど外国産のほうが安い。
その安くて大量に入荷する外国産が店頭に並ばないというのはいかにも不思議で、ハハァ~ン、こいつはいま世界中で問題になっている輸出入品を船で運ぶ際に使われるコンテナ不足とやらと何か関係があるのだろうかと思ったりする。
クリスマス用品の輸入が滞って商品が品薄になり値段が跳ね上がっているとか、様々なところでちょっとした話題になっている。
チューリップの球根がこんな騒ぎに巻き込まれているなんて、ちょっと想像も及ばなかったことでもあり、いささか驚かされた。
もっとも、ネットの世界では20球690円とか50球1050円などというのをはじめ、8球80球セット2590円なんて安めのものが健在だし、一方で5球2480円なんて希少価値なんだろうかずいぶん高め設定のものまでさまざまなのが売られているのも確かだ。
何かカラクリでもあるのだろうか…
まっ、同じ高騰でも原油価格とか小麦や大豆など農産物の値上がりとか、生活に直結する品物と違ってチューリップの球根の事だからボヤクだけで済むが、幼稚園児たちが春になって小さな口を開いて♪サイタサイタ チューリップの花がぁ~♪ と歌っても、園庭に肝心のチューリップが咲いていない、という事態も出てくるかもしれない。
風が吹けば桶屋が儲かる…というのは有名な逸話だが、コンテナ不足で誰がどういう利害関係に置かれ、それぞれがどんな表情をしているのか、ずらりと並べて見比べてみたいものである。
散歩道の空き地に菜の花畑かと見まごう黄色のじゅうたんが現れて目を引いている
おちろん晩秋のこの季節に菜の花が開くはずもなく、正体はセイタカアワダチソウだが‶悪者扱い〟の濡れ衣もすっかり晴れた今、こうして群れ咲いている光景も悪いものではない