ベッドから抜け出して何はともあれ、既にほの明るさを増しつつある外の様子をうかがおうと、ガラスの折り戸を開けてベランダに出ようとした時だった♪
幽かに…キョキョキョキョキョキョッ…キョキョキョキョキョキョッ…と聞こえたような気がした。
空耳かと思って耳を澄ますと…今度はトッキョキョカキョク……
さらにトーキョートッキョキョカキョク…キョキョキョキョキョカキョク…と。
最初はガビチョウかウグイスかなとも思ったくらいだったが、少し聞き慣れてくると「東京特許許可局」…と聞こえるではないか。
これなら間違いないっ♪
この決して美声とは言えない声の持ち主こそ、待ちわびたホトトギス♪
正岡子規が名前にしちゃったホトトギス(子規)。
平安の歌人や恋人たちが夜明けの空の下で、この鳴き声とともに恋に身を焦がし、それを競って歌に詠んだホトトギス。
やっと来たのかい、ずいぶん遅かったじゃやないか。垣根の卯の花はとっくに散ってしまったぜ。どこで道草喰ってたんだ?
20年から順に5月18日、14日(21年)、28日(去年)に初音を聞いていたものだから「まだか、まだか」と気をもんでいたのだが、それでも結果は去年より2日早かった。
ただ季節感を含めて、周囲はソメイヨシノだって随分早く咲き出してしまったし、わが家は例外だったがバラだって南関東の開花は例年より10日から2週間くらいも早かったのだ。
しかし、さすがだね、モテ男は。慌てず騒がず悠然とやって来るところなんぞは。なかなかのものだよ、キミ♪
卯の花の にほふ垣根に
時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて
忍音もらす 夏は来ぬ
作詞 佐々木信綱
と言うように、これで待望の夏がやって来る♪
そのことが素直にうれしい。
ちなみに古の人々が如何に初音を待ち焦がれたか…
わがやどの池の藤波さきにけり 山郭公(ヤマホトトギス)いつか来鳴かむ よみ人しらず
朝霞たなびく野辺にあしひきの 山霍公鳥(ヤマホトトギス)いつか来鳴かむ よみ人しらず
待ち焦がれた後、やって来たホトトギスの鳴き声を聞いて…
ほととぎす空に声して卯の花の 垣根も白く月ぞ出でぬる 永福門院
この歌、どこかで聞き覚えがあるような…無いような…
そう♪ あのササキノブツナさんの「夏は来ぬ」が下敷きにした歌なんですな。
まっ、いずれにしても、これで…
目には青葉山時鳥初鰹 山口素堂
…と、三拍子そろいましたな♪
さぁ、夏だ夏だ夏だ♪
4:16 この夜明けの空の下で大きな声を上げて鳴いていたんですな
4:16 キョキョキョキョキョッ キョキョキョキョキョキョッ
4:27
4:28
4:50 ホトトギスさまのご到着♪
4:52 朝の光を浴びてぇ~♪