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平方録

拝金山観光寺と役に立たない福寿手帳

季節が変わろうとしている時と言うのは、個人差にも寄るのだろうが、心が騒ぐというか、落ち着きを奪われるものだ。
特に夏から秋がいけない。
そもそも朝はなかなか明けないし、逆に日暮れはさっさとやってくる。
朝夕に時々感じる冷たい空気に敏感に反応するボクの鼻腔は、くしゃみを連発して、鼻水をだらしなく垂れ流すようにもなる。
若かりし頃はこれにブタクサの花粉の飛散が加わって、一度クシャミと鼻水が出始めると止まらず、顔中ぐじゅぐじゅになり、仕事にならないくらい酷かった。
今は鈍感になったと見えて、そこまでひどくはないが「嫌な季節」を迎えつつあることには違いはない。
 
夏の間撮りためてきたブログ用写真も今朝の写真で在庫は尽きた。
幸い天気予報が外れ、朝からピーカンらしいからパトロールがてら何か探してこようと思う。
久しぶりに市内の寺でも回ってみようかと考えている。
何がしか季節を先取りするような花でも咲いていれば"めっけもの"だし、それを期待してのことだが、はたして思惑通りいくだろうか。
 
大佛次郎のエッセイ集をめくっていて「鎌倉案内ー昔と今とー」という一文に出会った。
ボクが大学4年のころの1969年に書かれたもので、文庫本で4ページほどの短いものだが、「へぇ~」と感心し共感したのは「京都の寺々が『接客山観光寺』に堕落しているのと違って、鎌倉の古い寺々が盛り場にあるのを除いて昔の武家時代の威厳と誇りある自信を失わずにいる」と喝破し、鎌倉で入場料を取るのは長谷の大仏と長谷観音の長谷寺だけだと、その落ち着きぶりを称えているところ。
確かに京都の寺々の拝観料の金額を聞いて、その高額さには驚かされる。
それでも1964年の東京オリンピックのころは「観光寺」でもそこそこの「接客」は、形はどうあれ、存在していたのだと思う。
しかるに、最近は京都には近づいたこともないが、「接客山」なんてのは過去の話で、今は「拝金山観光寺」にまで堕落したのではと、心配している。
観光客さえたくさん来てくれれば金銀ザックザク…それがまたオーバーツーリズムを招くことにつながっている要因の一つではとさえ思う。
 
その「拝金山観光寺」の波はいつの間にか関東にも下って来て、鎌倉の寺々にも伝染し始めて久しい。
しかも、3年に渡ったコロナ禍で門を閉じてしまったおかげで"不労所得"の途絶えた寺は今一斉に値上げの季節を迎えていて、嘆かわしいことである。
もっとも300円を500円に値上げした円覚寺が高い方で、おしなべてそんな程度だから京都とは比べ物にならないが、それでも値上げを伝えられると「ん?!」と小銭をまさぐる手が止まりかけるのは正直な感想である。
おまけにジジイの愚痴と聞き流してくれていいのだが、鎌倉には65歳以上になると「福寿手帳」なるものが漏れなく手渡され、市内の銭湯が割引になったり寺の拝観料が無料になる制度があるのだが、この福寿手帳をかざして拝観できる寺など今は市内に皆無(ボクの知る限り)で、ケンもほろろに拒否されるのである。
銭湯に至ってはもはや絶滅危惧種で、その数は極端に少なく、バスか車で乗り付けてまで「ひとっ風呂」をロージンの誰がやりますかってんだ。
 
制度設計した市の小役人はその効力が生きているのか、十分に老人福祉に役立っているのか、点検の一つもしてみたらどうかね。
鎌倉文学館などほんのわずかな市の直営施設を除き、ほとんど役に立たないことを知らないとしたら、それは犯罪だぜ。立派な詐欺罪。
「鎌倉市は詐欺師ですよぉ~!」
 
 

夏の盛りの腰越漁港













 

 

 
 
 
 

コメント一覧

heihoroku
都は千円ポッキリですか…
横浜は確かランクがあって色々らしいけど、バスも地下鉄もは5000円払いさえすれば多分乗り放題かと…
自前の公営交通を持っているとはいえ、全く羨ましい限りです。
鎌倉は老人福祉の果てるところですよ。比べ物にもなりません。
頼朝と政子がいてくれたらなぁ…
アミ
都知事さんには、少なからず、文句はありますが…。
年間、1.000円で乗れる無料パスには、お礼を言いたいです。(笑)
病院、スーパーに行くのも、バスがすべて無料です!
都営地下鉄も無料だそうですが、あまり、恩恵は被っておりません。
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