わが家の庭に異変が起きている。
その最たるものは秋には咲いたことがない…というより、そもそも咲かないはずのつるバラに花が咲いている。
それも1品種だけでなく3つも。
わが家には6種類のつるバラがあるのだが、そのうちの「伽羅奢」と「ローゼンドルフシュパリースホープ」そして「バレリーナ」。
「ローゼンドルフ…」は開花時期の初夏に複数の病気にやられてほとんど花を咲かせなかったので、この季節外れに咲かせるのも植物なりに理由のあってのことだろうと、理解したい。
バラは相対的に病害虫には弱いから、特に見せるためのバラ園などでは予防や防除のための農薬散布は常識なのだが、わが家では薬剤は使わない主義で育てている。
だから、農薬などの薬剤を使わなくてもいいようにあらかじめ病害虫に強い品種ばかりを選んで植えている。
強いと言ったって「比較的」という留保付きだが、それでもこれまでは病害虫によって花のつき方が極端に悪くなるようなことはなかったと思う。
つまり、無農薬で何とかそこそこにはきれいに咲かせてきたのである。
それが今年は新芽やツボミの茎に穴をあけて汁を吸うバラゾウムシの被害が多発しかけ、目視で1匹1匹捕殺してきた。
特に「ローゼンドルフ…」で被害が集中した感がある。
捕まえるって言ったってバラゾウムシは米粒よりも小さい上に全身真っ黒だからか、忍者に例えられるほど人目につかず隠れて行動しているから容易なことではないのだ。
バラゾウムシに関してはあまり有効な防御剤がないのも事実で、だから見つけ次第捕殺するしかない。
バラ愛好家にはバラゾウムシは天敵である。しかも小面憎いことに本名を「クロケシツブチョッキリ」と言い、おちょくったような名前の持ち主なのだ。
名前まで憎たらしい。
病害虫にやられた「ローゼンドルフ…」に対して「伽羅奢」はよく咲いた。
玄関に通じるアプローチに設置したアーチに絡めているのだが、アーチそのものを隠してしまうのはもちろん、旺盛に出ている葉っぱさえ覆い隠すほどの勢いで花が盛り上がり、今年は例年に比べてもよく咲いた部類である。
例年だと後は株を養生させて次の年に備えるのだが、今年は初めて秋にも咲き出したのだ。頼んだわけでもないのに…
もちろんポツリポツリだが、秋に咲くことがなかったので庭の主としては驚きもひとしおなのだ。
天候のジェットコースターにでも乗っているかのような今年の急激な変化の繰り返しが原因しているのかどうか…
良く分からないが、とにかくこんなことはかつてなかったことで、これまた庭の主は首をかしげるのである。
「バレリーナ」の場合も「伽羅奢」とほぼ同様によく咲いた上のお勤めである。
いずれにしても、バラにとっては戸惑いの中で花を咲かせているに違いない。
こんなことでは株が疲れてしまいやしないかと心配になってしまう。
まぁ、どのみち年が明ければせん定して寒肥をたっぷり施し、初夏に向けて養生にこれ務めてもらうことになるから、その先のことはあまり心配していないが、今年の気象の常ならざる事態にさらされてきたバラを見るにつけ、驚くことばかりである。
品乗りピンクに染まる「伽羅奢」
病気を来年に持ち越しやしないか心配な「ローゼンドルフシュパリースホープ」