庭のほぼ真ん中にある株立ちのカツラの幹に、透き通るようなピンク色の小振りな花が房状に咲いているのに気付いた。
近寄ってみると花弁の数は5枚で花芯には黄色のオシベがたくさん並んでいて、ピンクと黄色が明るく華やかな印象を振りまいている。
カツラの根方にいつの間にかノイバラが住み着いて、枝葉を茂らせていたことは知っていたし、初めて幾つかつのぼみが付いているのにも気が付いてはいた。
だから、てっきり野山で出会うノイバラと同じ白い花が咲くものだとばかり思いこんでいて、それも悪くないなと思っていた。
それだけにかくも明るく華やかな花の出現に余計にびっくりさせられた。
でも、嬉しい♪
何より花の色と形がボクの好みにぴったりなのだ♪
花が咲いただけでなく、何の手も加えていないのにシュートまでが何本も伸びているから、カツラの幹に這い上らせれば今後は大いに期待できるというものである。
それにしてもどこからやって来たのか。
10年以上前からカツラの根方にバラが生えている事には気付いていた。
しかし何年経ってもほとんど成長せず小さいまま邪魔にもならず、存在すら忘れかけてもいた。
ノイバラの類だろうと思い、ロクに花も咲かせないのだから引っこ抜こうかと思ったこともあるが、まるでカツラの根っこから生えているようにぴったりと幹にくっついて伸びているので掘り起こすことも出来ず、仕方なくそのままにしておいたのだ。
果実を食べた鳥が運んできたものだろう、たぶん。
それにしても、まるで園芸品種のようなきれいな色合いの花が咲くとは…
もしや由緒正しきご先祖様の血を引かれるお方ではあるまいか…などという推測も成り立つが、今のところ手掛かりも無い。
そうか、天の神様のプレゼントか…だとしたら、なおさら嬉しい♪
どうです…この愛くるしい美しさ
てっきり白いノイバラが咲くものだと思っていたら…
「天の恵」とか「天女」とか、何か名前を考えなくっちゃな♪
数本の新しいシュートがボクの背丈を超えて伸びているのも嬉しい