2階のベランダから見える近くの山懐のヤマザクラの‶残照〟を眺めながら鉢植えのバラに水をやっていた時のこと。
お気に入りの「空蝉」の焦げ茶色をした枝先にたくさんの赤みを帯びた新芽が付いた様子に痛く満足し、「今年も期待できそうだな」と思う瞬間の嬉しさは愛好家のみぞ知る楽しみと言っていい。
そういう気持ちで目を細めて水やりを続けていると、新しい葉っぱの中に思春期の少女のような「膨らみ」があるのに気付い♪
目を凝らし、顔を近づけてみると何という眼福、まぎれもない「春の目覚め」がそこにあった。
我に返って株全体を見渡すと、だいぶ膨らんではっきりとつぼみを主張する膨らみもある。
サクラにうつつを抜かしていたわけじゃないが、いつの間に…
今年の春の歩みはお世辞にも順調ではなかったのに、健気というほかはない。
元々空蝉は4月下旬の大型連休の直前ころから咲き始めるから、特別に早いという訳でもなく、順調な歩みなのだが、いよいよバラのシーズンが近づいてきていると思うと嬉しい。
しかし、油断大敵。
鉢植えの株のツボミに気付いて庭に植えてある株の見回りをしたら案の定だったのだ。
まさか、まだバラの新芽やツボミに穴をあけて枯らしてしまうバラゾウムシは出現していないだろう…と思ったのだが甘かった。
薄い緑の軟らかそうな葉の上で小癪にも日向ぼっこでもするかのようにジッとしている小さな異物があるのに気付く…
凝視してよくよく見ると口先からゾウの鼻のように伸びた細長いものが付いている!
本来は真っ黒なのだが、まだ生まれたてなのかどうか知らないが、黒じゃなくて薄い灰色の衣をまとっているが間違いない、あのゾウのような口先は間違えっこない。
これぞ憎っくきバラゾウムシである。別名クロケシツブチョッキリ。
何と人を食った名前であることか。
名前からして忌々しい。
こいつさえ自由にさせなければわが家のバラは安泰で、株にあふれる花の数々を楽しめる。
逆にこいつらの暗躍を許せば…
早速ひっ捕らえて「処刑」してやった。
ここに戦いの幕は切って落とされたのである。
おぉ 愛いやつ愛いやつ♪
まだ少女のようだが…♪
かすかなふくらみの愛おしさ♪
空蝉♪
「ブラッシングアイスバーグ」の鉢植えの株も負けじと♪